クリスタで描く マンガのきほん
もくじ(全19章)
  1. 序 この資料のつかいかた
  2. 第1章 クリスタのきほんと原稿づくり
  3. 第2章 線画 ― 下描きからペン入れまで
  4. 第3章 パースのとりかた
  5. 第4章 人物の描き分け ― 男性と女性
  6. 第5章 髪の毛の描き方と影の入れ方
  7. 第6章 白黒マンガのトーンのつけかた
  8. 第7章 カラー漫画の塗りかた
  9. 第8章 背景の描きかた
  10. 実践① 実践① 影の入れ方 ― 1手順=1画像
  11. 実践② 実践② トーン ― 1手順=1画像
  12. 実践③ 実践③ カラーの塗り方 ― レイヤーの順番と1手順=1画像
  13. 実践④ 実践④ 髪の塗り方(カラー) ― レイヤーの順番と1手順=1画像
  14. 実践⑤ 実践⑤ 目の描き方(カラー) ― レイヤーの順番と1手順=1画像
  15. 復習 復習シート ― 印つき作例を1ページにまとめて確認
  16. 第9章 第9章 目と瞳の描き方
  17. 第10章 第10章 服のしわの描き方
  18. 第11章 第11章 コマ割りとセリフ
  19. 付録 早見表・用語集・練習ドリル

序 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

この資料のつかいかた

「クリスタって何から覚えればいいの?」という人のための入口です。パンくずの読み方・学習の順番・グレードの違いをここで確認します。

読みかたロードマップ準備

0-1この資料は何のため?

CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)でマンガを描けるようになるための練習用テキストです。白黒マンガとカラー漫画の両方をあつかい、人物(男・女)・背景・トーンのつけかたを、中学生でもわかる言葉で説明します。

説明はすべて、実際の画面で「どこを、どの順に開くか」をパンくず(道しるべ)で書いています。読み方を先に覚えてしまえば、あとは迷いません。

0-2操作パンくずの読みかた

パンくずは左から右へ、その順番で開いていくという意味です。一番右が「最後に押すもの」です。

どこ? ファイル新規

どこ? レイヤー新規ラスターレイヤー下のレイヤーでクリッピング

どこ? ツールパレットペンGペン(ツールパレットペンGペン のように色が変わります)

メニューバー(画面のいちばん上の文字)を開くときは ファイル のように四角で、「場所 → 物の名前」の順に続きます。パレット(画面の左右にある小さな窓)を開くときは ウィンドウ素材 のように、メニュー>パレット>中のボタンの順です。

パレットが見えなくなったら、こわがらずに ウィンドウ素材 や ウィンドウレイヤープロパティ で開き直してください。クリスタはウィンドウ(窓)がどこかに消えるだけです。

0-3ゴールのイメージ(完成例)

この資料を最後まで進めると、下のような絵が描けるようになります。先にゴールを見ておくと、各章で「今なんのために練習しているのか」が分かります。

完成例 1白黒漫画の完成例
白黒マンガの完成例:線画+ベタ(髪)+スクリーントーン(背景・服)+集中線。第2章(線画)・第5章(髪と影)・第6章(トーン)で作っていきます。
完成例 2カラー漫画の完成例
カラー漫画の完成例:下塗り+乗算の影+ハイライト。影は黒を混ぜず、色相をずらして作っています。第7章で作ります。

この資料に出てくる「完成例」の絵は、学習用に用意したイメージ作例です(手本として見るための絵で、誌面の作例そのものではありません)。

一方、パースやトーンの仕組みを説明している線画の図は、この資料のために描き起こした「模式図」です。実際のクリスタの画面写真ではありません。画面のどこに何があるかは模式図で示し、操作はパンくず(例:レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング)で書いています。

0-4学習の順番(ロードマップ)

下の順番で進めると、つまずきにくくなります。1つの章=1つの目標です。

  1. 第1章 クリスタのきほん:画面の名前、原稿のつくり方、レイヤーのきまり。すべての土台
  2. 第2章 線画:下描き→ペン入れの順番と、線の強弱。
  3. 第3章 パース:奥行きの出し方。背景と人物の両方で使います。
  4. 第4章 人物(男・女):頭身と比率、男女の差が出る場所。
  5. 第5章 髪の毛と影の順序:人物を立体に見せる、いちばん大切な章。
  6. 第6章 白黒のトーン:ベタ・トーン・網点の設定とモアレ対策。
  7. 第7章 カラーの塗り:下塗り→影→ハイライトの3層。
  8. 第8章 背景:箱から描く手順、3D素材、省略のしかた。
  9. 実践① 影の入れ方:影の手順を1手順=1画像で練習。
  10. 実践② トーン:トーンを貼って入稿できるページにするまでを1手順=1画像で練習。
  11. 第9章 目と瞳:目のパーツ、描き順、モノクロとカラー、感情の出しかた。
  12. 第10章 服のしわ:しわの3つの原因、部位別のしわ、線と影の分担。
  13. 第11章 コマ割りとセリフ:コマ枠の作り方、視線誘導、吹き出しとテキスト。

実践③④⑤をひととおりやったら、復習シートで全15手順を1ページに見返せます。

第1章と第2章だけでも「線画までは描ける」状態になります。全部いっぺんに覚えようとせず、練習ドリル(付録)を1つずつこなしていくのがおすすめです。

0-5先に知っておくこと

クリスタには3つのグレード(製品の種類)があり、プロでもない限り気にしない場所ですが、できないことを知っておくと迷いません。

できることの目安(2026年時点の一般的な違い)
できることDEBUTPROEX
1ページの漫画を描く○○○
トーンを貼る(素材パレット・トーンレイヤー)○○○
パース定規(1〜3点透視)○○○
複数ページの一括管理(.clip のページ管理)——○
3D素材を線画+トーンに自動変換(レイヤーのLT変換)——○
同人誌入稿テンプレート(ファイル新規同人誌入稿)——○

つまり、PROでも漫画は十分描けます。この資料のなかでEXだけの機能には EXのみ と書いてあります。無い機能は「写真を自分で線画にして取り込む」など別の方法で代用できます(第8章で説明します)。

0-6準備するもの

パソコンと液タブ・板タブ

ペンタブレットがあると線がきれいに描けます。マウスでも描けますが、線の強弱はとても付けにくいです。

クリスタ本体

最初は無料体験版でOK。まずは1か月、第2章までやってみましょう。

練習用のファイル

この資料を読みながら、クリスタで新規キャンバスを1つ作って、同じ手順を手でまねしてください。読むだけでは身につきません。

0-7この資料の全章

第1章クリスタのきほんと原稿づくり画面の名前、原稿(キャンバス)のつくり方、レイヤーのきまり、ペンの選び方。ここだけは先に覚えましょう。第2章線画 ― 下描きからペン入れまでラフ→下描き→ペン入れの順番と、線の強弱(入り抜き)のつけ方。ベクターレイヤーと線幅修正で、あとから直せる線にします。第3章パースのとりかたアイレベルと消失点の考え方、1点・2点・3点透視の使い分け、クリスタの[パース定規]のつくり方とスナップの使い方。第4章人物の描き分け ― 男性と女性頭身と体の比率、顔のパーツの位置、男性らしさ・女性らしさの差が出る場所。3Dデッサン人形の使い方も。第5章髪の毛の描き方と影の入れ方髪は「かたまり」に分けてから描きます。影を入れる順番(下地→大きな影→小さな影→ハイライト→反射光)を手順どおりに。第6章白黒マンガのトーンのつけかたベタとトーンの使い分け、網点の線数・濃度・角度、モアレの直し方、トーンぼかし。印刷で失敗しないための設定も。第7章カラー漫画の塗りかた下塗り→影→ハイライトの3層で塗ります。乗算レイヤーの色の選び方、寒色の影、反射光、カラーの男女の差。第8章背景の描きかた箱から描き起こす手順、パース定規との合わせ方、3D素材とLT変換、素材パターン、省略のしかたまで。実践①実践① 影の入れ方 ― 1手順=1画像髪・肌・服の影を、1手順=1画像で分解した実践テキスト。下地→影1→影2→ハイライト→反射光の順番を、作例を追いながら練習します。実践②実践② トーン ― 1手順=1画像線画→ベタ→すきま埋め→範囲選択→トーン→線数と濃度→モアレ直し→トーンぼかし→完成。白黒ページが入稿できる状態になるまでを9手順で追います。実践③実践③ カラーの塗り方 ― レイヤーの順番と1手順=1画像線画→下塗り→影1→影2→ハイライト→仕上げの7手順を、レイヤーパレットの状態つきで追います。どのレイヤーを、どの合成モードで、どの順に重ねるかを全部見せます。実践④実践④ 髪の塗り方(カラー) ― レイヤーの順番と1手順=1画像髪は「下地→影1→影2→ハイライト→反射光→仕上げ」の6手順。クリッピングで髪の中だけに影をのせる方法と、つやの出る設定を順番に追います。実践⑤実践⑤ 目の描き方(カラー) ― レイヤーの順番と1手順=1画像白目→瞳のベース→瞳孔と虹彩の濃淡→落ち影→ハイライト→まつげの6手順。瞳の中の「光の3層構造」をレイヤーごとに分けて描きます。復習復習シート ― 印つき作例を1ページにまとめて確認実践③④⑤の全15手順の作例を、赤い印(①②)の意味と設定つきで1ページに並べました。塗る順番・合成モード・不透明度・クリッピングを、作業しながら見返すためのページです。第9章第9章 目と瞳の描き方目の10のパーツ、4段階の描き順、モノクロの目とカラーの目、形で性格を描き分ける方法、感情はまぶたと瞳孔で出します。第10章第10章 服のしわの描き方しわは「引っぱり・たまり・支え」の3つでしかできません。部位別・服種別のしわと、線・ベタ・トーンの役割分担を学びます。第11章第11章 コマ割りとセリフ読む順番の決めかた、視線誘導、コマ枠フォルダーの作り方、コマの高さと間隔、吹き出しとテキスト、ページ構成までをまとめます。付録早見表・用語集・練習ドリル操作パンくずの一覧、用語集、印刷所に入稿するときのチェックリスト、練習ドリル。作業中に開くページです。

メニュー名やアイコンの位置は、クリスタのバージョン(3系・4系など)やパソコン/タブレット/スマホ版で少しずつ違います。この資料ではパソコン版の日本語表示を基準にしています。見つからないときは、同じ名前の言葉をパレットの中から探してみてください。

第1章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

クリスタのきほんと原稿づくり

画面の名前、原稿(キャンバス)のつくり方、レイヤーのきまり、ペンの選び方。ここだけは先に覚えましょう。

レイヤー新規作成ペン

1-1画面の名前を覚える

最初に、これから何度も出てくる場所の名前を覚えます。むずかしい言葉はありません。道具の置き場所だと思ってください。

画面のどこに何があるか(模式図)

ファイル 編集 表示 レイヤー フィルター ウィンドウ 1 ツール ペン・鉛筆・塗り・ 消しゴム・定規など 2 サブツール Gペン丸ペンミリペン筆ペン 3 ツール プロパティ ブラシサイズ手ブレ補正参照レイヤー など 4 素材パレット 3Dトーン 5 ナビゲーター 全体を見る拡大・縮小 キャンバス 6 レイヤーパレット 線画 トーン(選択中) 下塗り 用紙 (「+」で新規作成) 重ねる順=見える順(上が手前) 目・鍵のアイコンで表示/保護 7 レイヤープロパティ 効果(網点)/トーン線数 濃度/角度/レイヤーカラー ← 影・トーンの調整はここ 8 カラーパレット モノクロ原稿は白・黒・グレー 9
画面の配置はこの9か所だけ覚えれば十分です。番号は下の表と同じ順番です。
  • 1メニューバー:大きい命令(ファイル・レイヤー・フィルター)
  • 2ツールパレット:道具を選ぶ(縦に並ぶ)
  • 3サブツールパレット:Gペン・丸ペンなどを選ぶ
  • 4ツールプロパティ:ブラシサイズ・手ブレ補正など
  • 5素材パレット:トーン・3D素材を貼る
  • 6キャンバス:原稿そのもの
  • 7レイヤーパレット:とうめいな紙を重ねる(最重要)
  • 8レイヤープロパティ:クリッピング・網点・色の調整
  • 9カラーパレット:色を選ぶ

パレットの配置は初期状態の例です。ウィンドウを動かしてもかまいませんが、2・3・4と7・8の位置関係(道具→設定/紙→効果)だけは覚えておくと迷いません。

クリスタの主な場所と、そこで何をするか
名前どこにある何をする
メニューバー画面のいちばん上ファイル・レイヤー・フィルターなど、大きい命令を選ぶ
ツールパレットふつう左側(縦長)鉛筆・ペン・塗りつぶしなど、道具を選ぶ
サブツールパレットツールパレットの右「ペン」の中のGペン/丸ペン/ミリペンを選ぶ
ツールプロパティサブツールの右ブラシサイズ・手ブレ補正など、選んだ道具の細かい設定
キャンバス真ん中絵を描く紙(原稿そのもの)
レイヤーパレットふつう右側紙を何枚も重ねる「レイヤー」を管理する(最重要)
レイヤープロパティレイヤーパレットの下クリッピング・網点・レイヤーカラーなどの効果をかける
素材パレットふつう左側の下トーン・3D素材・背景素材を貼る
カラーパレット右上など色を選ぶ(モノクロ原稿では白・黒・グレーを使う)
ナビゲーター右上など全体を見ながら拡大・縮小・移動

「レイヤーパレットが消えた!」というときは ウィンドウレイヤー で出せます。同じように、素材は ウィンドウ素材、レイヤープロパティは ウィンドウレイヤープロパティ です。

どこ? ウィンドウレイヤー

どこ? ウィンドウ素材

1-2原稿(キャンバス)のつくりかた

いきなり描き始めず、最初に「何に使う原稿か」を決めてキャンバスを作ります。ここを間違えると、あとで印刷が失敗します。

  1. ファイル新規 を開く。
  2. 「作品の用途」で イラスト/コミック/同人誌入稿 EXのみ から選ぶ。漫画なら コミック でOK。
  3. 用紙サイズを決める。同人誌なら B5(182×257mm) か A5 が定番。投稿・持ち込みなら B4 が指定されることもあります。
  4. 解像度(dpi)を決める。白黒は 600dpi、カラーは 350dpi が目安です。
    なぜ? 白黒の網点は細かいので、600dpiより粗いとモアレ(しま模様のムラ)が出ます。
  5. 「基本表現色」を決める。モノクロ=白黒原稿/グレースケール=グレーで描く原稿/カラー=色つき原稿。
  6. 裁ち落とし(断ち落とし)を設定する。ページいっぱいに絵をのせたいときは 3〜5mm つけます。
  7. OK を押す。

どこ? ファイル新規 → 作品の用途 → 用紙サイズ・解像度・基本表現色 → OK

内枠=この線の内側に大事な絵・文字を入れる 仕上がり線=印刷で切られる位置 裁ち落とし=ここまで絵をのばしてよい外側の限界 ※ 外側の一点鎖線が「裁ち落とし線」、内側の太線が「内枠」 同人誌入稿テンプレートの表示例
コミック/同人誌入稿のテンプレートを選ぶと、この3本の線が自動で引かれます。線の外に描いた絵は印刷で切られるので、大事なセリフや顔は内枠の中に。

あとから解像度を上げ直すことはできません(上げ直すと画質が落ちます)。最初に 600dpi/350dpi を選ぶのがいちばん大事な設定です。

1-3レイヤーのきまり(いちばん大事)

レイヤーはとうめいな紙です。上に重ねるほど、手前に見えます。マンガは「1枚の紙に全部描く」のではなく、役割ごとに紙を分けて重ねます。

↑トーン/ベタ影をつける
↑ペン入れ(線画)いちばん上にあると安心
↑下描きあとで薄くする
↓ラフ(構図)いちばん下
—用紙(白い紙)紙の色
上=手前、下=奥。この並びを守ると、線画に色がかぶらず、あとから直せます。

レイヤーの種類

  • ラスターレイヤー:ふつうの紙。にじみ・ぼかし自由。
  • ベクターレイヤー:線を「線として」保存。あとで太さを直せる。
  • トーンレイヤー:網点専用。線数・濃度をあとで変えられる。
  • レイヤーフォルダ:レイヤーをまとめる箱。

覚える操作は4つだけ

  • 新規:レイヤーパレット新規ラスターレイヤー
  • 色を変えずに守る:レイヤーの不透明度
  • 内側だけに描く:レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング
  • まとめる:レイヤー新規レイヤーフォルダー

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー(パレット下の「+」ボタンの中にあります)

どこ? レイヤー新規レイヤーベクターラスター

レイヤー名は必ず書きかえましょう。「ラスターレイヤー1」が10枚並ぶと、どれが髪でどれが肌か分からなくなります。名前を変えるには、レイヤー名をダブルクリックします。

まちがえて別のレイヤーに描いてしまったときは、編集消去 で消すか、そのレイヤーを捨てて描き直します。レイヤーを間違えると全部やり直しになるので、描く前に「今どのレイヤーを選んでいるか」を必ず見てください。選んでいるレイヤーは青くなっています。

重要:クリッピングのオン/オフで何が変わるか

× オフ(下のレイヤーの形を無視して描ける) 影がはみ出す ○ オン(下のレイヤーの中だけ描ける) 影が中で止まる レイヤーに赤い枠がつく ペンで描いても、下のレイヤーの絵の外には出てしまう。 影・ハイライト・トーンは、これをオンにしてから描く。
クリッピングは「下のレイヤーの形の中だけに描ける」機能です。オンにするとサムネイルの横に赤い枠が付きます。髪・肌・服の影は、この状態で入れます。

1-4ペンとブラシの選び方

漫画は、ほとんどペン1本+塗りつぶしで描けます。まずは「ペン」の中の3種類を覚えます。

サブツールパレットの「ペン」の中身(ツールパレットペン で切りかえ)
名前こんな線が出るどこで使う
Gペン強弱(太い・細い)がはっきり出る、漫画の主役人物の輪郭、主線
丸ペン細くて一定、繊細顔・目・髪の細部、ベタの輪郭
ミリペン太さがずっと同じ(一定)背景の直線、枠線、機械
筆ペン筆のような強弱効果線、和風の線

どこ? ツールパレットペン → サブツールパレットGペン

ブラシサイズの決めかた(原稿の大きさで変える)

同じ「3px」でも、原稿の解像度で見え方が変わります。600dpiのB5原稿なら、これが目安です。

使う場所ブラシサイズの目安(600dpi)
顔の輪郭・目2〜3px
体の輪郭4〜6px
髪の内部の線・しわ2〜4px
背景の直線3〜5px
枠線(コマの外枠)8〜12px / 内枠 4〜6px

どこ? ツールプロパティブラシサイズ(数字を直接クリックして入力もできます)

線をきれいに描く最大のコツは 手ブレ補正 です。ツールプロパティ手ブレ補正 の数値を上げると線がなめらかになります。ただし上げすぎると反応が遅く感じます。20〜40あたりから試してみましょう。

1-5おぼえておくと速いキー操作

することキー
1つ前にもどす(やり直し)Ctrl + Z
やり直しを取り消すCtrl + Y
元に戻る(もう一度やり直す)同上
ズームイン/アウトスペース+ドラッグ/Ctrl + スペース
キャンバスを動かすスペースを押しながらドラッグ・または ツールパレット手のひら ツール
左右を反転して見る(形をチェック)表示左右反転(ホームキーに登録すると便利)
新規ラスターレイヤーCtrl + Shift + N
上書き保存Ctrl + S

1-6保存と書き出し(ここを間違えると入稿できない)

作業中の保存と入稿用の書き出しは別の操作です。

  1. 作業中:ファイル保存(または ファイル別名で保存)で .clip 形式のまま保存する。レイヤーを残したまま何度でも直せます。
  2. 入稿・提出用:ファイル書き出し(単一レイヤー) → PSD または PNG/JPEG を選ぶ。レイヤーが1枚にまとまり、印刷所が受け取れる形になります。
  3. 白黒原稿の入稿は グレースケール または 2値(白と黒だけ) の指定があるので、入稿先の原稿規定を必ず読みます。

どこ? ファイル保存(作業中)

どこ? ファイル書き出し(単一レイヤー)(入稿用)

① .clip で保存したファイルをそのまま印刷所に送ってしまう → 受け取ってもらえません。
② 600dpiで作ったのに 350dpiで書き出す → 網点がつぶれます。
③ レイヤーが残ったままの PSD を「単一レイヤーで」書き出す → ページ数が合わない、データが重い。入稿先の指示どおりに。

ここまでで「描く準備」ができました。次は実際に線を引きます → 第2章 線画

第2章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

線画 ― 下描きからペン入れまで

ラフ→下描き→ペン入れの順番と、線の強弱(入り抜き)のつけ方。ベクターレイヤーと線幅修正で、あとから直せる線にします。

入り抜きベクター定規

手順1ラフ(構図)手順2下描き手順3ペン入れ手順4下描きを薄く・整理ゴール線画の完成
この章のゴール線画の目標となる完成例
この章のゴール:この作例の線の部分を作ります。輪郭は太く、髪や服の内部の線は細く、線のつなぎ目が自然に入っています。

2-1線画は「順番」で決まる

いきなり本番の線を引くと、必ず失敗します。マンガの線画は4段階に分けて進めます。段階ごとにレイヤーを分けるのがコツです。

  1. ラフ:構図とポーズだけを、あたり(丸・四角)で決める。線はぐちゃぐちゃでOK。
  2. 下描き:体の比率・顔のパーツ・服の形を決める。この段階で90%決めます。
  3. ペン入れ:きれいな線を引く。下描きの上に新しいレイヤーを作って描く。
  4. 仕上げ:下描きを薄くする(または非表示にする)→ 線の交差を整理する。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー(下描きの上にペン入れ用のレイヤーを作る)

線画はこの4段階で進む(絵で見る手順)

① ラフ 丸・四角・線で位置だけ ② 下描き 比率・パーツ位置を決める ③ ペン入れ 輪郭は太く、中は細く ④ 仕上げ 下描きを非表示・交差を整理
①ラフ(位置だけ)→ ②下描き(比率を決める)→ ③ペン入れ(強弱のある線)→ ④仕上げ(下描きを消して整理)。②で9割決めてから③に行くのが上達のコツです。

下描きは青い線にすると、ペン入れの線と区別しやすくなります。やり方は、下描きレイヤーを選んで レイヤープロパティレイヤーカラー にチェック → 色を水色に。あとで下描きを薄くしたいときは レイヤーパレット不透明度 を 30〜50% に下げます。

どこ? レイヤープロパティレイヤーカラー(チェックを入れて色を選ぶ)

どこ? レイヤーパレット不透明度(レイヤーの上にある数字)

下描きが完成したら、表示左右反転 で見てみましょう。反転すると形の狂いが一目で分かります。ここで直しておくと、ペン入れのやり直しが減ります。

2-2線の強弱(入り抜き)のつけかた

プロの線と初心者の線のいちばんの違いは太さが変わるかどうかです。太さがずっと同じ線は、定規で引いた線に見えてしまいます。この強弱を入り抜きと呼びます。

× 太さがずっと同じ線 定規で引いたような線。形は正しくても、生きていない。 ○ 入り抜きのある線 始まりは細く、中は太く、終わりは細く。筆圧のイメージで。 輪郭線は太く、中の線は細く 外側=太い線、内側のしわや影=細い線
1本の線のなかで太さを変える(左)と、線と線で太さを分ける(右)。この2つを意識するだけで一気にプロっぽくなります。

描くときの合言葉

① 力の入れどころ

  • 線の中央をいちばん太く、始まりと終わりを細く。
  • 長い線は分割してつなぐ。1本で引こうとしない。
  • つなぐときは元の線の上を少し重ねる(ハの字に開かない)。

② どこを太くするか

  • 体の外側(輪郭)は太く、服のしわは細く。
  • 影になる側・体重がかかる側を太く(立体感が出る)。
  • 線の交差点を埋める(交点は太く)。
  • 手前の物を太く、奥の物を細く(空気遠近)。

どこ? ツールプロパティブラシサイズ(線ごとに変える/ショートカットキーに登録すると速い)

線がガタガタする→ ツールプロパティ手ブレ補正 を上げる。それでもだめなら、キャンバスを拡大しすぎていないか確認(等倍〜200%で描くのが基本)。
線が二重になる→ 引き直さず、おかしい部分だけを ツールパレット消しゴム で消してから引き直す。
線が細すぎて弱い→ 解像度600dpiなら3〜4px以上が目安。1pxは髪の毛の先などにだけ使います。

2-3ベクターレイヤー ― あとから直せる線

ふつうのラスターレイヤーに描いた線は、消して描き直すしか方法がありません。ベクターレイヤーなら、描いたあとに形も太さも変えられます。ペン入れレイヤーはベクターで作るのがおすすめです。

  1. レイヤーパレット新規ラスターレイヤー の右の▼を押し、ベクターラスターを選ぶ。レイヤー新規レイヤーベクターラスター でも同じです。
  2. そのレイヤーにペン入れする(描き方はラスターと同じ)。
  3. あとで直すときは ツールパレット線修正 → サブツールパレット線幅修正 を使う。線をなぞると、なぞった長さに応じて線が太くなる/細くなる。
  4. 形を変えるときは ツールパレット操作 → サブツールパレットオブジェクト で線をクリック → 制御点(丸いつまみ)をドラッグして形を整える。

どこ? レイヤー新規レイヤーベクターラスター

どこ? ツールパレット線修正線幅修正(なぞって太さを変える)

どこ? ツールパレット操作オブジェクト(線をクリックして形を直す)

ベクターレイヤーでは ベクター用の消しゴム が使えます(ツールパレット消しゴムベクター用)。ツールプロパティの「消去」を「交点まで」にすると、線が交わる所でピタッと止まり、はみ出しません。

2-4あとから線の太さを修正する(線幅修正)

「全体が太すぎた」「影側だけ太くしたい」というときに使います。ベクターかラスターかで手順が違います。

ベクターレイヤーの場合

  1. ツールパレット線修正 → サブツールパレット線幅修正 を選ぶ。
  2. ツールプロパティ線幅の修正方法 で「太くする/細くする」を選び、拡縮値を決める。
  3. ブラシサイズを調整して、太くしたい所をなぞる。
  4. 全体を一度に変えたいときは ツールパレット操作オブジェクト で線を選び、ツールプロパティブラシサイズ の数字を変える(1本ずつ変えられます)。

ラスターレイヤーの場合

  1. 太さを変えたいレイヤーを選ぶ(一部だけなら ツールパレット選択範囲自動選択 で範囲を選ぶ)。
  2. フィルター線画修正線幅修正 を開く。
  3. 「処理内容」で修正方法を選び、「拡縮値」でどれだけ変えるかを決める。
  4. プレビュー をオンにして確かめ、OK。

どこ? フィルター線画修正線幅修正 → 処理内容・拡縮値 → OK

ラスターの線幅修正はレイヤー全体(または選択範囲)に一度にかかります。「この1本だけ」はできません。1本ずつ直したいならベクターが有利です。

2-5定規の使いかた(直線と対称)

「まっすぐ引けない」「左右対称に描けない」は、定規で解決できます。定規は選んでから描くだけです。

直線定規(背景・枠線・効果線に)

  1. ツールパレット定規 → サブツールパレット直線定規 を選ぶ。
  2. キャンバス上でドラッグして定規を引く。
  3. そのままペンで描くと、定規に吸い付いて(スナップして)まっすぐな線が引ける。
  4. 角度を変えるときは ツールパレット操作オブジェクト で定規のつまみをドラッグ。

対称定規(顔・体・模様に)

  1. ツールパレット定規 → サブツールパレット対称定規 を選ぶ。
  2. ツールプロパティ対称の種類 を「垂直」にする(左右対称)。
  3. キャンバス中央に縦の線を引く。
  4. 顔の左半分を描くと、右半分が自動で描かれる。左右対称の顔の下描きに便利。

どこ? ツールパレット定規対称定規 → ツールプロパティ対称の種類垂直

定規を引いたレイヤーの上に、別のレイヤーでペン入れすれば、定規の線は残りません。レイヤー定規を非表示 で定規だけ隠す方法もあります。パース定規は別の章でくわしく説明します → 第3章 パース

2-6線画セルフチェック

  • 下描きとペン入れのレイヤーが分かれている
  • 線の強弱(入り抜き)が入っている/輪郭は太く、中は細い
  • 線のつなぎ目がハの字に開いていない
  • 線の交差点が埋まっている(すきまが白く残っていない)
  • 表示左右反転 で見て、形の狂いがない
  • 消し残し・二重線・髪の毛先の切れがない
  • 600dpiなら線はおおむね3px以上(細い線は細部だけ)

線が描けたら、次は奥行きです。背景も人物も、パースが分かると一気に「それらしく」なります → 第3章 パースのとりかた

第3章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

パースのとりかた

アイレベルと消失点の考え方、1点・2点・3点透視の使い分け、クリスタの[パース定規]のつくり方とスナップの使い方。

アイレベル消失点パース定規

手順1アイレベル手順2消失点手順3パース定規手順4箱を描く手順5線を整理ゴール背景の完成
この章のゴール2点透視の教室の完成例
この章のゴール:教室の背景をパースに沿って描きます。机・椅子・窓の奥行きの線が、すべて消失点へ向かっています。

3-1パースの言葉は3つだけ

パース(透視図法)というと難しく聞こえますが、覚える言葉は3つです。カメラを想像すると分かりやすくなります。

アイレベル(目線の高さ)

見ている人の目の高さを横に伸ばした線。地平線と同じ場所に来ます。ここより上にある物は見上げる形、下にある物は見下ろす形になります。

消失点(しょうしつてん)

物の幅・奥行きの線が集まる1点。横方向・奥行き方向の消失点は必ずアイレベル上にあります。

ガイド線

消失点から放射状に伸びる線。部屋の角や線路のように、奥へ向かう線はぜんぶ消失点へ向かいます。

アイレベル 消失点 奥へ向かう4本の線が、ぜんぶ同じ1点に集まっている=1点透視
アイレベル=自分の目線。消失点=奥行きの線が集まる点。この2つを先に決めるだけで、背景の狂いが激減します。

3-21点・2点・3点透視の使い分け

どれを使うかは「何を見せたいか」で決まります
種類消失点の数こう見える使う場面
1点透視1つ真正面から見た部屋・廊下室内、廊下、正面の街並み。初心者はここから
2点透視2つ(左右)建物の角を見ている感じ。いちばんよく使う家の外観、街、机を斜めから見る
3点透視3つ(左右+上下)見上げ/見下ろしの迫力高層ビルを見上げる、俯瞰(ふかん)の街
1点透視 正面・室内 2点透視 建物の角・街 3点透視 見上げ/見下ろし
3点透視の3つ目の点(下の赤い点)は、ビルを見上げるときは下、街を見下ろすときは上に置きます。まっすぐ立つ縦線が斜めに集まるのがポイントです。

3-3パース定規のつくりかた

クリスタにはパース定規があり、線が自動で消失点へ向かうように描けます。手順は「①道具を選ぶ → ②種類を決める → ③キャンバスをドラッグ → ④オブジェクトツールで調整」です。

  1. ツールパレット定規 → サブツールパレットパース定規 を選ぶ。
  2. ツールプロパティサブツール詳細 を開く(ツールプロパティ右上の鍵アイコン)。パース定規の項目で透視図法を「1点透視/2点透視/3点透視」から選ぶ。
  3. キャンバス上をドラッグすると、そのとき引いた線がアイレベルになります。指を離すとパース定規ができます。
  4. 位置を直すときは ツールパレット操作 → サブツールパレットオブジェクト でガイド線をクリックすると、アイレベル・消失点・ハンドルが表示され、ドラッグで動かせます。
  5. 消失点を増やす(1点→2点→3点)ときは、ツールプロパティサブツール詳細の「透視図法を変更」をオフにしてから、線を描くようにドラッグします。消失点が追加され、透視図法が自動で切りかわります。

どこ? ツールパレット定規パース定規 → ツールプロパティサブツール詳細パース定規透視図法

どこ? ツールパレット操作オブジェクト(ガイド線をクリックして調整)

パース定規づくりの3ステップ(模式図)

ツール:定規/パース定規 サブツール詳細で透視図法を選ぶ 1点透視 2点透視 ← 3点透視 ①道具と種類を選ぶ ここからドラッグ ②キャンバスをドラッグ ③ハンドルで位置を調整
①ツールパレット定規パース定規 を選び、ツールプロパティサブツール詳細透視図法 で種類を決める → ②キャンバスをドラッグしてアイレベルを引く → ③ツールパレット操作オブジェクト でガイド線をクリックし、アイレベル・消失点・ハンドルを動かして調整する。

アイレベルの高さ=カメラの高さです。低くすれば見上げる迫力のある構図、高くすれば見下ろす(俯瞰)構図になります。先にアイレベルを決めてから建物を描き始めると、あとで狂いません。

消失点をキャンバスの外に置くのがコツです(近すぎると絵がつぶれて見えます)。パース定規は1つのレイヤーに1つが基本。複数のレイヤーに定規があると、思わぬ線に吸い付いてしまいます。

3-4パース定規に吸い付かせて描く(スナップ)

パース定規があるレイヤーで描くとき、線は自動でガイドに沿います。ペン入れの前に、どこに吸い付くかを決められます。

ツールパレット操作オブジェクト → パース定規のハンドルを操作したときに出る設定
設定意味
パース定規全体にスナップ描いた線を、いちばん近いガイド線に合わせる(定規全体のハンドル)
消失点にスナップ消失点そのものを、アイレベル上にぴったり合わせる(ガイド線のハンドル)
アイレベルにスナップ1点透視のとき、アイレベルを水平に保つ

どこ? ツールパレット操作オブジェクト → パース定規のハンドルを右クリック → 各スナップ設定

背景の下描きは「定規のレイヤーの上に、別のラスターレイヤーで」描きます。定規そのものは線が残らないので、背景の線だけが作品に残ります。パース定規のレイヤーは下描きのいちばん下に置いておくと整理しやすいです。

3-5人物にパースを当てる

人物もパースの法則から逃げられません。大事なルールは「人物の目の高さ=アイレベル」です。

  1. まずアイレベルを引く(この場面のカメラの高さ)。
  2. 人物の目の位置を、アイレベルに合わせる(立っている人物は、見ている人と同じ高さに目が来やすい)。
  3. 人物を箱(四角柱)でとらえる。頭・胸・腰・脚の4つの箱を描く。
  4. 奥行きの線は消失点へ向かわせる。手前の箱は大きく、奥の箱は小さく。
  5. 箱の角を落として、円柱(腕・脚)をのせる。
  6. 最後に体の線をなめらかになぞり、関節を丸でつなぐ。
アイレベル=目の高さ 左:背の低い人物 中:背の高い人物 右:箱でとらえた同じ人物(奥ゆきの線は消失点へ)
背の高い人でも低い人でも、目はアイレベルに乗ります(同じ画面を同じ高さで見ているから)。だから最初にアイレベルを引くと、人物の大きさがズレません。

① 顔だけパース無視:体は斜めなのに顔が正面のままだと平面的に見えます。
② 縦線が斜め:2点透視では縦線は垂直(まっすぐ)です。斜めにするのは3点透視のときだけ。
③ 消失点が近すぎる:絵がつぶれて見えるので、キャンバスの外に置く。
④ 人物と背景でアイレベルが違う:同じ画面ではアイレベルは1本だけです。

パースが分かったら、次は人物そのものの形です → 第4章 人物の描き分け

第4章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

人物の描き分け ― 男性と女性

頭身と体の比率、顔のパーツの位置、男性らしさ・女性らしさの差が出る場所。3Dデッサン人形の使い方も。

頭身比率描き分け

手順1頭身を決める手順2顔の十字線手順3箱と円柱手順4男女の差手順5ペン入れゴール人物の完成
この章のゴール男女の描き分けの完成例
この章のゴール:男性は肩幅が広く輪郭が角ばり、女性はなで肩で首が細く腰の位置が高い。シルエットだけで見分けられるのが目標です。(作例では男性がスーツ、女性が制服ですが、見るポイントは体型の差です)

4-1頭身(とうしん)で大きさを決める

人物を描くときは、「顔の長さが体にいくつ入るか」で考えます。これを頭身といいます。

頭身の目安(日本の漫画でよく使われる比率)
頭身こんな人物使いどころ
4〜5頭身子ども、デフォルメ、ギャグ小学生、ちびキャラ
6頭身中学生・やや子どもっぽい学園ものの主役
7頭身高校生・青年。いちばん描きやすい標準。まずはここを練習
8頭身大人、モデル体型、ヒーロー大人の男性、かっこいい系
6頭身(中学生) 7頭身(標準) 8頭身(大人) 1頭身=顔の高さ。これが体に何個入るかで数えます
水色の横線が「1頭身ぶん」。7頭身なら横線が7本。まずは7頭身で全身を描く練習をしましょう。

4-2顔のパーツの位置(正面)

顔は「なんとなく」描くと崩れます。丸(あたま)+十字線から始めれば、誰でも整った顔になります。

  1. 丸を描く(頭の上のほう)。
  2. 丸の下にあごの形を足して、卵のような形にする。
  3. 縦の中心線と横の線を引く。横の線は頭全体の真ん中=目の高さ。
  4. その横線の上に目を描く。目と目の間は目1つぶん。
  5. 横線から下へ、鼻は半分、口はさらに下(あごの手前)に置く。
  6. 耳は目線と鼻の間の高さ、輪郭のすぐ内側。
横の線=目の高さ(頭の半分) 鼻はここあたり(横線とあごの間) 口はここあたり 目の間は「目1つぶん」空けると、顔が広く見えない
まず横の線=目の高さを守ること。初心者の顔が崩れる原因のほとんどは、目が高すぎるか低すぎることです。

4-3男性と女性の描き分け

同じ「人間」でも、骨格のつくりが違います。下の表の場所を意識するだけで、一目で男女が分かる絵になります。

差が出る場所(上から順に見ていく)
場所男性女性
輪郭角ばっている。あごが四角いなめらかな曲線。あごは丸い/とがる
眉太く、まっすぐ。目の上に近い細く、カーブ。目の上から離れている
目・まつ毛横長。まつ毛は短い縦に大きい。まつ毛・二重線を強調
鼻・口鼻筋をはっきり、口は横長鼻は小さく控えめ、口は小さく
首太く短い細く長い
肩・胸肩幅が広い。肩が角ばる。胸は平ら〜厚い肩幅が狭い。なで肩。胸に丸み
ウエスト・腰腰は細くならない。直線的くびれる。腰の位置が高く見える
手・足手・足が大きい。関節がごつい手足が小さく、指が細い
全身の比率肩幅は頭2つぶんくらい肩幅は頭1.5つぶんくらい

男性を描くときの3チェック

  • 肩を角(かく)させる(線を折る)
  • 首を太く、あごを四角く
  • 体の線は直線的に。腰をくびれさせない

女性を描くときの3チェック

  • 肩をなめらかな曲線にする
  • 首を細く長く、あごを丸く
  • ウエストをくびれさせ、腰を高く見せる

「女性=まつ毛を長く」だけに頼ると、記号っぽい絵になります。まず骨格(肩幅・腰・首)で差を出すのが上手な描き方です。男女の区別はシルエット(黒く塗った形)で分かるのが理想です。

4-4体を立体にする(箱と円柱)

  1. 頭=球(たま)+あごの箱。
  2. 胸=大きめの箱。肩幅がここで決まる。
  3. 腰=少し小さめの箱。胸よりやや下、男女の差が出る場所。
  4. 腕・脚=円柱(つつ)。関節(ひじ・ひざ)は丸でつなぐ。
  5. 箱の向きをそろえて、同じ消失点へ向かわせる(第3章のパース)。
  6. 最後に面の切りかえし(正面・側面・下面)を線で入れると立体に見える。

迷ったら、自分の写真をスマホで撮って素材として貼るのも手です(消しゴムでなぞって下描きに使う)。ただし写真のトレースは商用利用の権利に注意。自分の写真なら安心です。

4-53Dデッサン人形を使う(ポーズ決めの強い味方)

クリスタには3Dデッサン人形が入っています。ポーズの確認やパースの練習に最適です。

  1. 素材パレット3Dデッサン人形 を選び、キャンバスにドラッグ&ドロップする。
  2. 人形を選んだ状態で ツールパレット操作オブジェクト を使い、関節(青や赤の丸)をドラッグしてポーズを変える。
  3. 腰部のハンドルで体全体を動かす。背骨のカーブで「ひねり」もつけられる。
  4. ポーズが決まったら ツールパレット操作オブジェクト のサブツール詳細で、カメラの角度・画角を変えて構図を決める。
  5. そのまま下描きの参考にして描く。EXのみ レイヤーレイヤーのLT変換 を使うと、3D人形を線画レイヤー+トーンレイヤーに変換してそのまま使えます。

どこ? 素材パレット3Dデッサン人形(ウィンドウ → 素材 でパレットを出しておく)

どこ? レイヤーレイヤーのLT変換 EXのみ

3D人形をそのまま作品に使うと「3Dっぽさ」が出ます。下描きの参考にするのが基本で、線画は自分の手で描き直すのがおすすめです。デフォルメ(頭身を変える)も忘れずに。

4-6人物セルフチェック

  • アイレベルと人物の目の高さが合っている
  • 頭身が一定(ラフとペン入れで変わっていない)
  • 目の位置が頭の半分に来ている
  • 男女がシルエットで見分けられる(肩幅・首・腰)
  • 腕・脚が関節でつながっている(棒になっていない)
  • 服のしわが「関節・引っぱられる所・たまる所」に入っている
  • 左右反転で見てもバランスが崩れない

人物の形が決まったら、次は立体に見せる影です。ここからが本番です → 第5章 髪の毛の描き方と影の入れ方

第5章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

髪の毛の描き方と影の入れ方

髪は「かたまり」に分けてから描きます。影を入れる順番(下地→大きな影→小さな影→ハイライト→反射光)を手順どおりに。

影の順序クリッピングハイライト

この章の内容をカラー専用に、レイヤーの順番つきで1手順=1画像に分解したページがあります → 実践④ 髪の塗り方(カラー)

手順1かたまり分け手順2つむじと流れ手順3下地手順4影1(大きい影)手順5影2(小さい影)手順6ハイライト手順7反射光ゴール髪の完成
この章のゴール髪の影の完成例
この章のゴール:束感のある髪に、トーンの影と白いハイライトの帯が入っています。①下地→②影1→③影2→④ハイライトの順番で作った結果です。

5-1髪は「かたまり」で描く

髪を1本ずつ描くと、必ずボサボサになります。まず大きなかたまり(ブロック)に分け、その中に束の線を入れます。

① 前髪(まえがみ)

顔にかかる部分。3〜5束に分ける。束の先は顔のパーツ(眉・目)に重ならないよう注意。

② 横の髪(サイド)

耳の前後。1〜2束。ここで顔の輪郭の大きさが決まる。

③ 後ろ髪(バック)

いちばん外側のシルエット。2〜4束。頭の丸みに沿わせる。

前髪(青) つむじ(分かれ目) 流れ線はつむじから放射状に 束の線は「根元→毛先」へ1本ずつ
かたまり(面)→ つむじ(流れの中心)→ 束の線、の順に描くと崩れません。束の線は根元から毛先へ向かって引きます。

5-2髪を描く手順

  1. 頭の丸(球)を描く。髪はこの球の上に少し厚みを足した形です。
  2. 生え際とつむじの位置を決める。生え際はおでこの上、つむじは頭のてっぺんより少し後ろ。
  3. 流れ線(つむじから放射状に出る線)を薄く引く。
  4. かたまりの輪郭(シルエット)を決める。前髪・サイド・後ろ髪ごとに。
  5. 束の線を根元から毛先へ入れる。束は先細りに(毛先を閉じる)。
  6. ペン入れレイヤーで清書。前髪は輪郭を太く、中の束の線は細く。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー(髪専用のレイヤーを作る)

5-3影の入れ方と順序(この章でいちばん大事)

影は「大きい影 → 小さい影 → 光」の順に入れます。順番を守ると、ベタベタしない立体になります。必ずクリッピングしてから描きます。

  1. 下地(ベース)
    髪の形を地の色(ベース色)で塗りつぶす。白黒なら白か中間のグレー。まずは白で残すのが基本。レイヤーパレット新規ラスターレイヤー
  2. 影1(大きな影)
    光の反対側と、顔に落ちる影を大きく入れる。ここが髪全体の7割の影。カラーは乗算レイヤー。レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング → レイヤーパレット合成モード乗算
  3. 影2(小さな影)
    影1の中に、さらに濃い影。束と束の重なり、えりあし、耳の後ろ。影1より狭く、濃く。
  4. ハイライト(つや)
    光が当たる山(つむじの手前)に輪(ヘアサークル)や帯を入れる。白黒なら白で線を描く/トーンを消す。カラーはスクリーンか覆い焼き(発光)レイヤー。
  5. 反射光(照り返し)
    影の中の下側に、服や肌から跳ね返る薄い光を入れる。影1の色を少し明るくする程度で十分。

どこ? レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング(下地レイヤーの一つ上でオンにする。サムネイルに赤い枠が付きます)

どこ? レイヤーパレット合成モード(乗算/スクリーン/覆い焼きなどを選ぶ)

どこ? レイヤーレイヤー設定下のレイヤーでクリッピング(メニューからでも同じ操作)

① 下地(白) まず形をそのまま塗る ② 影1(大きい影) 光の反対側+顔に落ちる影 ③ 影2(小さい影) 束の重なり・えりあし ④ ハイライト 山の形に白い帯(サークル)
①下地 → ②影1(大きく)→ ③影2(小さく濃く)→ ④ハイライト。この順番を変えると、髪がのっぺりします。⑤反射光は影1の下側を少し明るくするだけです。

影は「面」で入れるのがコツです。束1本ずつに影を入れると、髪が短冊のように見えます。まず大きな面として影を入れてから、束の線で区切ります。

クリッピングしたレイヤーは下のレイヤーの形の中だけに描けます。下地を塗り忘れると何も描けません(赤枠が出ていても、下が空なら見えません)。「描いたのに何も見えない!」ときは、下のレイヤーに色が入っているか確認しましょう。

5-4髪の色別・影の作りかた

黒髪〜白髪までの考えかた(白黒マンガとカラー共通の考え方)
髪の色白黒マンガでの作りかたカラーでの作りかた
黒髪地をベタ(黒)で塗り、白い線でハイライトを描く。影は「黒の上に黒」なので、ハイライトで立体を見せる。輪郭線は白い線(フチどり)で分離。地は真っ黒にせず濃い青紫や濃茶。影は青、ハイライトは水色やグレー。真っ黒にするとベタッと見える。
茶髪地=中間グレー、影=濃いトーン、ハイライト=白。いちばん失敗が少ない。地=茶、影=赤茶〜紫、ハイライト=山吹色。
金髪・明るい髪地=白のまま、影=薄いトーン+線で影の形を描く。影を濃くしすぎない。地=黄、影=オレンジ、ハイライト=白+反射光でキラキラに。
白髪・銀髪地=白、影=細い線+トーン。ハイライトは輪郭の外に白フチを入れて背景から分離。地=薄い水色〜グレー、影=青紫、ハイライト=純白。

どこ? ツールパレットペンホワイト(黒髪のハイライトは白いペンで描く)

どこ? 編集色調補正階調の反転(白黒の影と光をひっくり返したいとき)

5-5顔に落ちる影(前髪の影)の入れかた

  1. 肌(下地)レイヤーの上に新しいレイヤーを作り、クリッピングする。
  2. 前髪の形をそのままおでこに写すように影を入れる(少しズラすと立体的)。
  3. 影の上側の輪郭をぼかすか、ギザギザ(毛先の形)にして、毛の形を出す。
  4. あごの下・首にも影を入れる(首の影はあごの形を写す)。
  5. 最後に、影の中に反射光をうっすら入れて、影を「黒くつぶさない」。

① 影を入れすぎる:顔が暗く沈む。影は顔の面積の3割までが目安。
② 影の形が丸い:毛先のギザギザを忘れると、髪ではなく布に見えます。
③ ハイライトを全部の束に入れる:つやは1〜2か所に絞る。
④ 反射光を強くしすぎる:影が消えて平面になります。

影の入れ方は、髪でも肌でも服でも同じです。次はこれを白黒マンガのトーンに置きかえます → 第6章 白黒マンガのトーン

作例つきで1手順ずつ練習する → 実践① 影の入れ方(1手順=1画像)

第6章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

白黒マンガのトーンのつけかた

ベタとトーンの使い分け、網点の線数・濃度・角度、モアレの直し方、トーンぼかし。印刷で失敗しないための設定も。

網点ベタモアレ

手順1線画手順2ベタを塗る手順3範囲を選択手順4トーンを貼る手順5濃度・モアレ調整ゴール白黒ページの完成
この章のゴールトーンを使った白黒の完成例
この章のゴール:服のしわにトーンの影、髪とリボンにベタ、背景に薄いトーン。トーンの線数がページ内でそろっていると、印刷したときに落ち着いて見えます。

6-1白黒マンガは「4つの階調」で描く

白黒マンガは、グレーを何段階も使うのではなく、4つの表現を組み合わせて「階調(かいちょう)」を作ります。この考え方が分かると、一気に漫画らしくなります。

① 白(ぬき)

光が当たる所。ハイライト、肌の明るい部分。いちばん広い面積にして、絵を軽く見せる。

② 線(ハッチング)

細い線を並べて影にする。近景や、布のしわ、黒髪の表現に。

③ トーン(網点)

点の集まりで「グレー」に見せる。肌・服・空などいちばん活躍する。

④ ベタ(黒)

真っ黒。影のいちばん濃い所、黒い服、ランプの下。締めつける役目。

「白・ベタ・トーン」の3つを、必ず1ページに1回は使うと覚えましょう。トーンばかりのページは眠く見え、ベタばかりは重くなります。一番明るい所=白、一番暗い所=ベタを先に決めると、自然にバランスが取れます。

6-2トーンを貼る前の準備(下地とベタフラッシュ)

トーンは「白い所に貼る」のが基本です。まずベタを塗り、それからトーンを貼ります。

  1. 線画レイヤーの下に、下地レイヤーを作る。
  2. ベタにする場所(黒い服・髪・影)を ツールパレット塗りつぶし参照レイヤーへ などで塗る。
    ツールプロパティ塗りつぶし「参照レイヤー」を「参照レイヤーへ」に
  3. 塗りの外にはみ出した部分は ツールパレット選択範囲自動選択 で線画の外側を選んでから 編集消去 で消す。
  4. 線画とベタの間に白いすきまが残ったら、ツールパレット塗りつぶし隙間を閉じる の数値を上げるか、あとで ツールパレットペン で埋める(ベタフラッシュ)。
  5. 選択範囲の拡縮を使うと、線に少し重ねて塗れて、白いすきまが出にくい。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ(線画をガイドにして塗る)

どこ? 選択範囲選択範囲を拡縮 → 「拡縮幅」を 1〜2px にして OK

ベタの白いすきまは、印刷すると「フィルムに白い線が入った」ようになってとても目立ちます。塗ったあとは拡大して線のキワを一周チェックするくせをつけましょう。

6-3トーンの貼りかた(3つの方法)

方法1:素材パレットからトーンを貼る(いちばん簡単)

  1. 素材パレット を出す(ウィンドウ素材)。
  2. トーンを貼りたい範囲を ツールパレット選択範囲自動選択 などで選択する。
  3. 素材パレット単色パターン の中から、貼りたいトーンを選ぶ。網=点のトーン、万線=線のトーン、砂目=ざらついたトーン、グラデーションなど。
  4. キャンバスへドラッグ&ドロップする。選択範囲の中だけに貼られる。

どこ? 素材パレット単色パターン網 → キャンバスにドラッグ&ドロップ

何も選択していない状態でドロップすると、キャンバス全体にトーンが貼られてしまいます。かならず先に選択範囲を作りましょう。

方法2:選択範囲ランチャーから、自分で設定して貼る(おすすめ)

  1. 貼りたい範囲を選択する。選択すると、選択範囲の下に小さなパレット(選択範囲ランチャー)が出る。
  2. その中の 選択範囲ランチャー新規トーン を押す。
  3. 簡易トーン設定ダイアログで「線数・濃度・種類・角度」を決めて OK。

どこ? 選択範囲(の下に出る小さなパレット)新規トーン → 簡易トーン設定 → OK

どこ? レイヤー新規レイヤートーン(メニューから同じダイアログを開けます)

トーンを貼る流れ(4ステップ)

① 範囲を選択 自動選択などで囲む 選択範囲ランチャー 新規トーン 拡縮 消去 ② 新規トーンを押す 選択の下に小さなパレット 簡易トーン設定 線数 濃度 種類 網(点) OK ③ 設定して OK 線数・濃度・角度を決める ④ トーンが貼れる レイヤーパレットに1枚増える
いちばん簡単なのは①→②→③→④の流れ。あとから レイヤープロパティトーン線数・レイヤープロパティ濃度・レイヤープロパティ角度 で何度でも調整できます。

方法3:描いたグレーをトーンにする(あとから調整できて強い)

  1. 普通のラスターレイヤーに、グレーで影を塗る(色は黒〜グレー)。
  2. そのレイヤーを選び、レイヤープロパティ効果網点 にチェックを入れる。
  3. レイヤープロパティトーン線数 と レイヤープロパティ濃度 で見た目を調整する。

どこ? レイヤープロパティ効果網点(チェックを入れる)

どこ? レイヤープロパティトーン線数 / レイヤープロパティ濃度 / レイヤープロパティ網の設定 / レイヤープロパティ角度

方法3がいちばんあとで直せて楽です。塗ったグレーの濃さ=トーンの濃さになり、線数と角度はあとから何度でも変えられます。まず影をグレーで塗る → 最後にまとめて網点化、という流れがおすすめ。

6-4網点の設定:線数・濃度・角度

レイヤープロパティで設定できること
設定意味目安
トーン線数1インチに何本の網点を並べるか。数字が小さい=点が大きい(粗い)、数字が大きい=点が細かい(上品)。スクリーントーン風なら 50〜65線前後。粗くしたいときは 40線。
濃度トーンの濃さ。数値が大きいほど濃い(黒に近い)。影は 20〜40% から。遠景は 10〜20%。
網の設定点の形。網(点)/万線(線)/ノイズ/アスタリスクなど。基本は「網」。布や木目は「万線」、ざらつきは「ノイズ」。
角度網点の向き。基本は 45°(いちばん目が疲れにくい)。影ごとに角度を変えるとモアレが逃げます。
網点の位置X(横)Y(縦)で点の位置をずらす。影が重なったときのモアレ直しに使う。
マスクの表現「あり」=ぼかしブラシでトーンが薄くなる(階調が付く)。印刷する原稿は「なし」。階調が残ると印刷でトーンが汚く出ます。

どこ? レイヤープロパティトーン線数(数字をクリックして直接入力もできます)

40線(粗い)遠景・軽い影 60線(標準)いちばんよく使う 80線(細かい)肌・近景の薄い影 モアレ(×)同じ線数・同じ角度が重なる
線数は「点の大きさ」。シーンごとにそろえると、ページ全体が落ち着きます。重なりで縞が出るのがモアレです。

6-5モアレ(しま模様)を直す

トーンとトーンが重なると、点がぶつかって変な縞(モアレ)が出ます。アナログでは失敗ですが、デジタルなら簡単に直せます。

直しかた 1:角度を変える

重なっているトーンレイヤーを選び レイヤープロパティ角度 を 45°→20°や75°のように変える。いちばん効果があります。

直しかた 2:網点をずらす

レイヤープロパティ網点の位置 の X・Y を数値で少しだけずらす。Xを +2〜3 動かすだけでも消えます。

直しかた 3:線数を変える

片方を 60線 → 65線 などに変える。線数が違うとモアレが出にくくなります。

直しかた 4:網点を動かすツール

ツールパレットレイヤー移動 を使い、ツールプロパティ移動対象トーンの網点 にしてドラッグ。影だけ点の位置をずらせます。

どこ? ツールパレットレイヤー移動 → ツールプロパティ移動対象トーンの網点

モアレは画面では見えにくいことがあります。表示縮小して全体表示 と 100%表示の両方でチェックしましょう。同じ線数・同じ角度のトーンを2枚重ねないのが最大の予防策です。

6-6トーンをもっと上手く使う

トーンぼかし(影のキワをなじませる)

  1. トーンレイヤーを選び、レイヤーパレットレイヤーマスク を有効にする(トーンレイヤーはもともとマスクを持っています)。
  2. ツールパレットデコレーショントーン削り用(カケアミ)を使う。
  3. 影のキワを透明色で削るように軽くなぞる。点が散って、ぼかしたように見える。
  4. または フィルターぼかし をトーンレイヤーのマスクにかける。

どこ? ツールパレットデコレーションカケアミトーン削り用(透明色で削る)

印刷用の原稿では、レイヤープロパティマスクの表現 を「なし」にしましょう。「あり」のままだとぼかしに階調が残り、印刷でトーンがきれいに出ません。

トーンの貼り替え・貼り足し

  • 貼り替え:トーンレイヤーを選び、素材パレットトーンの貼り替え アイコンを押す。形(マスク)はそのままで、模様だけ変わる。
  • 貼り足し:トーンレイヤーに ツールパレットペン や ツールパレット塗りつぶし で描き足す(透明色以外で塗る=貼り足し)。
  • 削る:ツールパレット消しゴム でマスクを消す(消しゴムはトーンのマスクを消している)。

カラー漫画でもトーンを使うには

網点トーンはそのまま貼ると黒い点になります。色をつけたいときは レイヤープロパティレイヤーカラー にチェックを入れて色を選ぶと、トーンが好きな色になります。カラー漫画の柄や服の模様に便利です。

どこ? レイヤープロパティレイヤーカラー(チェックを入れて色を選ぶ)

6-7白黒マンガのチェックリスト

  • 白・線・トーン・ベタの4つが1ページに混ざっている
  • ベタの白いすきまがない(拡大して確認した)
  • 同じ線数・同じ角度のトーンを重ねていない(モアレ対策)
  • トーンの線数がページ内でそろっている(バラバラだと落ち着かない)
  • マスクの表現は「なし」(印刷用)
  • 顔に貼ったトーンが濃すぎない(肌は薄く・細かくが基本)
  • スクリーントーンを切って貼ったようなギザギザ(トーンぼかし)が入っている
  • 背景のトーンが手前より薄い(空気遠近)

1手順=1画像で通しで練習する → 実践② トーン(1手順=1画像)

白黒ができると、カラーはもっと簡単です。考え方は同じで、色が増えるだけです → 第7章 カラー漫画の塗りかた

第7章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

カラー漫画の塗りかた

下塗り→影→ハイライトの3層で塗ります。乗算レイヤーの色の選び方、寒色の影、反射光、カラーの男女の差。

下塗り乗算ハイライト

この章をレイヤーの順番つき・1手順=1画像で分解したページがあります → 実践③ カラーの塗り方 / 実践④ 髪の塗り方(カラー) / 実践⑤ 目の描き方(カラー)

手順1線画手順2下塗り手順3影1(乗算)手順4影2(乗算)手順5ハイライト手順6反射光ゴールカラーの完成
この章のゴールカラー漫画の完成例
この章のゴール:肌は暖かいオレンジ寄り、白いシャツの影は青系、髪の影は紫寄り。影の色相がずれているのがポイントです。

7-1カラーは「3層」で塗る

色を1つずつ選んで塗っていくと、必ず色が濁ります。カラー漫画は層(レイヤー)を分けて塗るのが基本です。白黒の「4つの階調」を色に置きかえた考え方です。

↑ハイライト(スクリーン)光
↑影2(乗算)濃い影
↑影1(乗算)大きな影
↑下塗り(ベース色)ふつうのレイヤー
—線画いちばん上の方が描きやすい
線画の下に「下塗り → 影1 → 影2 → ハイライト」を重ねます。影とハイライトはすべて下塗りにクリッピングします。

どこ? レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング(下塗りレイヤーの一つ上でオン)

カラーの3層を絵で見る

① 下塗り(ベース色) パーツごとにベタで塗る ② +影(乗算レイヤー) 肌は赤茶、髪は紫寄り ③ +ハイライト(光) スクリーン / 覆い焼き(発光) ④ 反射光を足して完成 影の中の下側を明るく
①下塗り → ②影(乗算)→ ③ハイライト → ④反射光。②と③はすべて①にクリッピングします。影の色は黒を混ぜず、色相をずらして作ります(7-3)。

どこ? レイヤーパレット合成モード乗算(影レイヤーに設定)

7-2塗る手順

  1. 線画をいちばん上に置く(レイヤー順を整える)。
  2. 線画の下に下塗りレイヤーを作り、肌・髪・服・背景などをそれぞれ色で塗り分ける。この段階では影を考えず、パーツごとにベタで塗る。
  3. 下塗りの上に影1レイヤーを作る → クリッピング → 合成モードを乗算にする。
  4. 光の反対側・服のしわ・髪の内側など、大きな影を塗る(髪の影の順序は 第5章と同じ)。
  5. 影2レイヤーを作る(乗算)。影1の中の濃い部分を塗る。
  6. ハイライトレイヤーを作る(スクリーン/覆い焼き(発光))。光が当たる所に白や明るい色を入れる。
  7. 最後に反射光を影の中に入れる(影1の色を少し明るくする)。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット合成モード乗算

塗り分けは ツールパレット塗りつぶし参照レイヤーへ を使うと、線画のはみ出しを気にせず一気に塗れます。ツールプロパティ塗りつぶし の「隙間を閉じる」を少し上げると、線の切れ目から色が漏れません。

7-3影の色の選びかた(ここが上達の分かれ目)

「影=元の色を暗くした色」にすると、絵が黒ずみます。プロは影の色を変えます。

影の色の作りかた(乗算レイヤーに塗る色)
下地の色影の色に足すもの例
肌(はだいろ)赤み+少し紫(暖色の影)オレンジの肌 → 赤茶・コーラル
服(白・グレー)青・青紫(寒色の影)白いシャツ → 薄い青
髪(茶・金)赤紫〜紫+彩度を上げる茶髪 → あずき色
髪(黒・青)青〜紺(冷たい影)黒髪 → 藍色
葉・自然物青緑(陰は緑が強くなる)緑 → 深い青緑
全体の遠景青+白を混ぜる(空気遠近)遠くの山 → 水色がかった灰青

覚えかた(3つのルール)

  • ① 影は色相をずらす(青なら紫へ、赤なら紫へ)
  • ② 影の彩度(あざやかさ)は上げる(暗くしすぎない)
  • ③ 遠くの物ほど青く、薄くなる(空気遠近)

やってはいけないこと

  • 黒を混ぜて暗くする(=濁る・重い)
  • 全部の影を同じ色にする(=単調)
  • 影を塗りすぎる(=暗い絵)
  • ハイライトを純白だけで入れる(=浮く)

どこ? カラーパレット(色はカラーホイールで選ぶと、色相をずらしやすい)

下地(肌) 影=赤茶+紫 下地(白い服) 影=青(寒色) 下地(茶髪) 影=赤紫(紫へずらす) 遠くの山 遠景=青く薄く(空気遠近)
同じ「影」でも、下地の色によって影の色は変わります。影を塗るときは、必ず色相をずらすこと。

7-4肌・髪・服の塗りかた(基本セット)

肌

  1. 下地は明るい肌色
  2. 影1:顔の側面・前髪の落ち影・首(赤茶+紫)
  3. 影2:あごの下、目の下の薄いくぼみ
  4. ハイライト:鼻筋・頬・唇(白を薄く)

髪(カラー)

  1. 下地:中間の色(黒髪でも濃紺に)
  2. 影1(乗算):毛先・内側・顔まわり
  3. 影2(乗算):束の重なりに小さく
  4. ハイライト:山の形に帯(白〜水色)
  5. 反射光:影の中の下側を明るく

服

  1. 下地はパーツごとに塗り分け
  2. しわ=「引っぱられる所」「たまる所」に影
  3. 白い服ほど青い影をしっかり入れる
  4. ベタの黒い服は反射光で形を見せる

カラーで「白黒マンガ風」に見せたいときは、影を硬いエッジ(ぼかさない)で塗ります。反対に少女漫画風ならぼかしを多めに。ツールプロパティブラシ の「ぼかし」で雰囲気が決まります。

7-5男女で色の使いかたを変える

場所男性キャラ女性キャラ
肌やや濃い・黄色みを強く。影を広くとる明るく、赤みを少し。影は薄く狭く
影のエッジ硬く、はっきり(くっきりした陰影)柔らかく、ぼかし気味
髪のハイライト細い帯を1本、控えめに幅広の帯+細かい反射光でツヤを多く
服の色同系色でまとめ、明度差で見せる補色や明るい色を1点入れて目を引く
全体の彩度やや低め(渋い)やや高め(華やか)

「男性は寒色・女性は暖色」と決めつける必要はありません。キャラの性格で選ぶのがいちばん良い方法です。強気な女性なら赤、穏やかな男性なら緑でもかまいません。大事なのはキャラごとに色のルールを決めることです。

7-6カラー漫画のチェックリスト

  • 下塗り・影1・影2・ハイライトがレイヤー別になっている
  • 影レイヤーが乗算+クリッピングになっている
  • 影の色を色相ずらしで作った(黒を混ぜていない)
  • ハイライトが1〜2か所に絞られている
  • 遠景が青く薄い(空気遠近)
  • 線画の色が黒のまま → 必要なら線の色も変えた(例:目の線は茶色)
  • 彩度の高い色が画面に1か所だけ(目線が集まる)
  • 明るい所と暗い所の差がはっきりしている(縮小しても見えるか)

人物と塗りができたら、最後は背景です。背景が決まると、絵の世界が決まります → 第8章 背景の描きかた

第8章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

背景の描きかた

箱から描き起こす手順、パース定規との合わせ方、3D素材とLT変換、素材パターン、省略のしかたまで。

箱3D素材省略

手順1アイレベルと消失点手順2部屋の箱手順3家具を箱で置く手順4細部を描く手順5トーン/色ゴール背景の完成
この章のゴール背景の完成例(第3章と同じ作例)
この章のゴール:アイレベルを1本に決め、箱から描き起こした教室です。奥の机ほど線が細く薄くなっています。

8-1背景は「箱」から描く

背景は、いきなり机や窓を描こうとすると失敗します。まず部屋そのものを箱として描き、その中に家具を置きます。

  1. アイレベルと消失点を決める(ツールパレット定規パース定規 を引く。第3章参照)。
  2. 部屋の箱を描く(床・壁2面・天井)。奥行きの線はすべて消失点へ。
  3. 大きさの基準を決める(ドア=2m、机=0.7m など)。人物を1人置いて、身長で測ると狂わない。
  4. 家具を箱で置く(机・ベッド・本棚もまず四角)。
  5. 箱の角を落として形をなめらかにする(丸い物は円柱にする)。
  6. 細部(引き出し・ノブ・目の粗い模様)を描く。奥の物ほど線を細く、薄く。
  7. 最後にトーン・ベタ・色を入れる(第6章・第7章の考え方と同じ)。

人の身長で測るのがいちばん大事です。ドアの高さは人の1.1〜1.2倍、机は膝の少し上、手すりは腰の高さ。数字で覚えると、どんな部屋でも大きさが合います。

8-2背景を「描き込みすぎない」

漫画の背景は、写真のようになんでも描く必要はありません。どこを見せたいかで描き分けます。

描き込みのレベル(漫画の背景はこの3段階で使い分ける)
レベル何を描くか使う場面
省略(記号)輪郭だけ、または線数本。人物の後ろに白を残す会話シーン、心情のシーン
中くらい箱の線+主要な家具+トーン教室、部屋。日常シーンの基本
描き込み細部まで線+ベタ+トーン+パース見せ場。扉ページ、街の広がり

どこ? ツールパレット矩形選択 → 編集消去(背景の一部を消して省略する)

人物の顔の周りには線を描かないのが鉄則です。人物の後ろの背景は、顔の大きさぶんだけ薄く(または消して)おくと、人物がくっきり見えます。

8-33D素材とLT変換で背景を速く作る

クリスタには3D背景素材が最初から入っています。教室・街・机の上など、素材を置いて角度を決めるだけで下描きができます。

  1. 素材パレット3D背景 から使いたい素材(例:教室)を選び、キャンバスにドラッグ&ドロップ。
  2. ツールパレット操作オブジェクト で、素材のカメラ角度・画角を調整する(自分の絵のアイレベルに合わせる)。
  3. そのまま下描きの参考にする。EXのみ 使えるなら レイヤーレイヤーのLT変換 で線画+トーンに変換する。
  4. 変換後は、ツールパレット線修正 で線を整理し、不要な線を消す。線幅も整える(第2章)。
  5. 自分好みの線に描き直して完成。

どこ? 素材パレット3D背景 → キャンバスにドラッグ&ドロップ

3D素材から背景を作る流れ(LT変換・EXのみ)

3D背景素材をドラッグ ① 素材を置いて構図を決める レイヤーのLT変換 コミック(網点トーン) 線画:線幅調整 / 線の密度トーン:階調化の段階 / 線数 OK ② プリセットを選んで OK レイヤーパレット 輪郭線(線画) テクスチャ輪郭線 トーン1(薄) トーン2(濃)/下地 ③ 線画とトーンに分解される
①素材パレット3D背景 をキャンバスに置き、ツールパレット操作オブジェクト でカメラ角度を調整 → ②レイヤーレイヤーのLT変換 でプリセット(コミック(網点トーン)など)を選んで OK → ③線画とトーンが別々のレイヤーになって出てくる。そのまま使わず、線を整えて描き直すのが基本です。

どこ? レイヤーレイヤーのLT変換 EXのみ → プリセット(例:コミック(網点トーン))→ OK

どこ? レイヤープロパティライン抽出レイヤーのLT変換を実行 EXのみ(同じ機能をこちらからも開けます)

LT変換はそのまま印刷に出せる品質ではありません。線がガタつく、細部がつぶれる、トーンが濃すぎる、といったクセがあります。「下描きの下地」として使い、線画は描き直すのが基本です。

LT変換はEXだけの機能ですが、同じことはできます。写真をキャンバスに貼る → レイヤーを選ぶ → 編集色調補正階調化 で2〜3階調にする → 線を拾いながら上から描き直すという方法です。写真は自分で撮った写真を使いましょう。権利 他人の写真・ネットの画像のトレースは、作品を発表すると権利問題になります。

8-4素材パターンと定規を使いこなす

素材パターンで楽をする

窓枠、レンガ、畳、木目、柄の布などは 素材パレット に画像素材として入っています。貼ってから 編集変形自由変形 でパースに合わせて斜めにすると背景になじみます。

集中線・効果線

ツールパレット定規 の特殊定規、または フィルター効果 の中に集中線があります。人物の顔の中心から放射させると自然です。

いちばん多用する定規

パース定規+平行定規(まっすぐな縦横線)+対称定規(模様)。この3つで9割の背景が描けます。

逆に使うと便利

表示グリッド や 表示パース定規の表示 は、描き終わったら消して仕上がりを確認しましょう。定規の線は印刷されません。

どこ? 素材パレット画像素材(背景・模様のパターン)

どこ? 編集変形自由変形(パースに合わせて斜めにする)

8-5背景でよくある失敗

① アイレベルが複数ある:人物の頭の高さに線を引いてしまい、部屋が傾いて見える。
② 奥の物を濃く描く:遠くは薄く・細く・青く。
③ 線が全部同じ太さ:手前を太く、奥を細く。
④ 消失点を画面内に置く:パースがつぶれて見える。画面外に置く。
⑤ 影の向きがバラバラ:光の方向を1つに決め、全部の物の影を同じ向きにする。
⑥ 人物と背景のタッチが違う:人物の線の太さ・トーンの線数を、背景でも同じにする。

8-6背景チェックリスト

  • アイレベルは1本だけ/消失点は画面外
  • 奥行きの線が、正しい消失点へ向いている
  • ドア・机・椅子の大きさが、人の身長と合っている
  • 奥の物ほど線が細く・薄く・青い
  • 人物の顔の後ろは薄くしてある(顔が目立つ)
  • 光源が1つに決まっていて、影の向きがそろっている
  • トーンの線数が人物とそろっている
  • 中心(人物)が画面のどこにあるか意識して構図を決めた

ここまでで人物・背景・トーン&カラーがそろいました。仕上げに、作業中に開く早見表と練習ドリルをまとめました → 付録 早見表・用語集・練習ドリル

実践① CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

実践① 影の入れ方 ― 1手順=1画像

髪・肌・服の影を、1手順=1画像で分解した実践テキスト。下地→影1→影2→ハイライト→反射光の順番を、作例を追いながら練習します。

1手順=1画像作例つき影の順序

実-0この実践版のつかいかた

第5章の内容を、1手順=1画像で細かく分解した実践テキストです。「文章は分かったけど、実際にどう動かすのか分からない」という人のためのページです。

手順カード1枚=作業1つです。左(スマホでは上)の画像がその段階の作例、右(下)に「やること」「パンくず」「注意点」を並べています。
画像には種類があります。作例=その手順の仕上がりイメージ。 模式図=操作のしくみを説明するために描き起こした図(実際の画面写真ではありません)。

この実践版の作例は学習用に用意したイメージ画像で、各段階の「こうなる」を見せるためのものです。実際のクリスタの画面写真ではありません。手順の操作は、下のパンくずと「やること」にしたがって、ご自分のキャンバスで行ってください。

実-1準備:光の方向とレイヤーを決める

影を入れ始める前に、2つだけ決めます。これを決めずに影を入れると、途中で向きがバラバラになります。

① 光の方向を1つに決める

① 左から光 右側に影。いちばん基本 ② 右から光 キャラの右を明るくしたい時 ③ 上から光 昼・屋外。影は下に短く ④ 逆光 輪郭に反射光(白フチ)
光源の位置で影の向きが決まります。ページや見開きの中で光源を1つに固定するのが鉄則。迷ったら「① 左から光」で描きましょう。

どこ? レイヤー新規レイヤーレイヤーフォルダー(人物のレイヤーをフォルダにまとめると、光の向きを変えたいときに楽です)

② 影のレイヤーをつくる

↑ハイライトスクリーン/白ペン
↑影2(小さな影)クリッピング+乗算
↑影1(大きな影)クリッピング+乗算
↑下地(ベース色)ここに髪・肌・服を塗り分け
—線画(ペン入れ)いちばん上に
影のレイヤーはパーツごとに分けても、まとめて1枚でもかまいません。最初は「髪用・肌用・服用」と3つに分けると、失敗してもやり直しが小さくて済みます。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング → レイヤーパレット合成モード乗算

白黒マンガのときは、乗算を使わずグレーやトーンのレイヤーをクリッピングするだけでかまいません。カラーのときだけ乗算を使います。

実-2髪の影 ― 5手順

手順1下地手順2影1(大きな影)手順3影2(小さな影)手順4ハイライト手順5反射光ゴール髪の完成
手順1 作例髪を一様なグレーで塗った下地の段階 髪の中を一様な明るいグレーで埋めた状態。影もハイライトもまだ無い。

① 下地(ベース)を塗る

髪のかたまりの中を、地の色で塗りつぶします。白黒なら白のままでもいいですが、「白のまま=いちばん明るい」を使っておきたいので、まずは薄いグレーを塗っておくと後の影が入りやすくなります。

  1. 髪のレイヤー(線画の下)を作る。
  2. ツールパレット塗りつぶし で髪の中を塗る。はみ出したら ツールパレット消しゴム で消す。
  3. 塗り残し(線のキワの白いすきま)を拡大して確認する。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ塗りつぶし隙間を閉じる(線の切れ目から漏れるのを防ぐ)

画面を縮小して全体を見たとき、髪が「1つの形」に見えますか? ここで髪の形が決まります。あとから形を直すのは大変なので、この段階で髪のシルエットを整えましょう。

手順2 作例髪に大きな影を入れた段階 光の反対側と、顔に落ちる影を大きく入れた状態。まだハイライトは無い。

② 影1(大きな影)を入れる

髪の立体感の7割はこの影1で決まります。小さく刻まず、「面」として大きく入れます。

  1. 影1レイヤーを作り、クリッピング(+カラーなら乗算)にする。
  2. 光の反対側を、頭の丸みに沿った大きな形で塗る。
  3. 前髪が顔に落とす影も、この段階で入れる。
  4. 影のキワの形は、後で束の線になじむようにギザギザ気味にする。

どこ? レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング(サムネイルに赤い枠が付く)

どこ? レイヤーパレット合成モード乗算(カラーのときだけ)

影1を小さく刻みすぎないこと。束1本ずつに影を入れると「短冊」のように見えます。まず大きな面として影を入れ、束の区切りは次の手順3で入れます。

手順3 作例髪に小さな影を足した段階 影1の中に、さらに濃い影を狭く入れた状態。束の重なりとえりあし。

③ 影2(小さな影)を足す

影1の中に、もう一段濃い影を入れます。「影の中の影」を作ることで、髪の厚みが出ます。

  1. 影2レイヤーを新しく作る(影1の上)。
  2. 束と束の重なり:上の束が下の束に落とす影。
  3. えりあし(首の後ろ)と耳の後ろ:いちばん暗くなる場所。
  4. 幅を狭く・濃く。「影1の3分の1の面積」が目安。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング

影2の色は、カラーなら影1より少し赤紫寄りにします。同じ色を濃くするだけだと、髪が黒ずんで見えます。

手順4 作例髪にハイライトの帯を入れた段階 つむじの手前の「髪の山」に、白い帯状のハイライトが入った状態。

④ ハイライト(つや)を入れる

ハイライトはつむじの手前の「山」に、輪(リング)や帯の形で入れます。ここを外すと、髪がテカテカのビニールに見えます。

  1. ハイライトレイヤーを作る(いちばん上)。
  2. つむじから少し下がった位置に、頭の丸みに沿った帯を描く。
  3. 白黒なら ツールパレットペンホワイト で描く、またはトーンを消して白を抜く。
  4. 帯は1〜2本まで。細い反射光を数本足すと質感が出る。

どこ? ツールパレットペンホワイト(黒髪のハイライトはこれで描く)

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン(カラー。もっと光らせたいなら 覆い焼き(発光))

ハイライトを全部の束に入れると、髪が網目状に見えて不自然です。1〜2か所に絞るのが正解。また、ハイライトの形を「まっすぐな帯」にすると、つやではなく「白い線を引いただけ」に見えます。山の形に沿わせるのがコツです。

手順5 作例反射光を入れて完成した髪 影の中の下側に薄い反射光が入り、影が黒くつぶれずに立体的に見える。

⑤ 反射光(照り返し)を入れて完成

最後に、影の中の下側に、服や肌から跳ね返ってくる光を入れます。これを入れると影が「黒い板」ではなくなります。

  1. 影1レイヤーの下側(あごに近い方)を、少し明るい色で塗る。
  2. または、影レイヤーとは別に「反射光レイヤー」を作り、影1より明るい色で細く入れる。
  3. 光りすぎたら不透明度を下げる。目安は影1の明るさ+ひと段階まで。

どこ? レイヤーパレット不透明度(強すぎるときはここで調整)

目を細めて(縮小して)見てください。髪が「明るい所 → 中間 → 暗い所 → 少し明るい」の4段階に見えていれば成功です。3段階以下なら反射光かハイライトを足します。

実-3肌の影 ― 3手順

髪と同じ考え方です。ただし肌は影を濃くしすぎると老けて見えるので、髪より狭く・薄く入れるのがコツです。

手順1 作例肌を一様なグレーで塗った下地 顔と首の肌を、一様な明るいグレーで塗った状態。

① 肌の下地

  1. 肌レイヤーを作り、顔・首・耳・手を塗る。
  2. 髪や服と色を分ける(あとで塗り足しやすくするため)。
  3. モノクロ原稿なら、肌は白のまま残すのが基本(いちばん明るい場所にする)。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ

肌をグレーで塗らず白のままにして、影だけをトーンで入れる方が、初心者は失敗しません。肌の明るさ=白は最強の武器です。

手順2 作例肌に影を入れた段階 顔の側面・前髪の落ち影・あごの下・首の影が薄いトーンで入っている。

② 肌の影(影1+影2を同時に)

肌は影の段階を分けず、1枚のレイヤーで薄い影から濃い影まで入れてしまう方が自然です。

  1. 肌レイヤーの上に影レイヤーを作り、クリッピングする。
  2. 顔の側面(光の反対側の輪郭ぞい)を薄く入れる。
  3. 前髪の落ち影を、前髪の形を写して入れる。
  4. あごの下・首:あごの形を写した影を入れる。首は「円柱」なので、上から下へ自然に暗くなる。

どこ? レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング

肌の影は顔の面積の3割までが目安。影を増やすほど「彫りが深く=大人びて」見えます。中学生くらいのキャラは影を少なめにすると、若く見えます。

手順3 作例ハイライトと反射光を入れた肌の完成 鼻筋・頬・唇に白いハイライト、影の中に反射光。肌の完成。

③ ハイライトと反射光で完成

  1. 鼻筋:細い白い線を1本。
  2. 頬と唇:小さく点や帯で入れる。目の中のハイライトと位置をそろえると光がつながる。
  3. あご先:小さく1点入れると、顔が前に出て見える。
  4. 影の中(首の下など)に反射光を入れて、影をつぶさない。

どこ? ツールパレットペンホワイト(モノクロ原稿のハイライト)

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン(カラーのハイライト)

ハイライトを入れすぎると、顔がテカったビニール人形になります。鼻筋・頬・唇・あご先の4か所まで。「足したくなったら、1つ消す」くらいの気持ちで。

実-4服の影 ― 3手順

手順1 作例服を一様なグレーで塗った下地 シャツ・スカート・リボンを一様な明るいグレーで塗った状態。

① 服の下地と、しわの下描き

服は塗る前に、しわの線を入れておくのがコツです。しわが無い所に影を入れても、ただのムラになります。

  1. 服レイヤーを作り、パーツごとに塗り分ける。
  2. しわを入れる場所は3つ:引っぱられる所/たまる所/関節(くわしくは 第10章 服のしわ)。
  3. しわの線は細いペン(丸ペンなど)で、輪郭より細く。

どこ? ツールパレットペン丸ペン(しわの線は細く)

どこ? ツールプロパティブラシサイズ(顔の線は2〜3px/しわは1.5〜3px)

手順2 作例服のしわに沿って影を入れた段階 引っぱられる所とたまる所に沿って、網点の影が入っている。

② しわの影を入れる

  1. 服の影レイヤーを作り、クリッピングする。
  2. しわの線の下側(または山の反対側)に沿って影を入れる。
  3. 深いしわは濃いトーン、浅いしわは薄いトーン。段階を分けると立体になる。
  4. 体の下になる部分(わきの下、胸の下、スカートの中)は広く影にする。

どこ? レイヤープロパティ効果網点(グレーで塗ってから網点化すると調整が楽)

どこ? レイヤープロパティトーン線数 / レイヤープロパティ濃度(しわの濃さを変える)

しわの影は「しわの線と同じ向き」に入れます。線と影の向きが違うと、布ではなく「シミ」に見えてしまいます。

手順3 作例ベタとハイライトを入れた服の完成 リボンと襟はベタ、スカートのプリーツに濃い影、しわの山に白いハイライト。

③ ベタとハイライトで完成

  1. ベタ:リボン・襟・ベルトなど、いちばん暗いパーツを黒一色で塗る。
  2. ベタの白いすきまを埋める(線のキワを拡大して確認)。
  3. ハイライト:しわの山(光が当たる側)に白を細く入れる。
  4. プリーツスカートは山と谷を交互に。谷に濃い影、山にハイライト。

どこ? 選択範囲選択範囲を拡縮 → 1〜2px 広げてから塗ると、白いすきまが出にくい

服の仕上がりを見るときは、「しわの数」より「影の段階」を見てください。大きく・中くらい・小さい影の3段階があれば、布らしく見えます。

実-5影の3種類(これだけ覚える)

マンガの影は、この3つしかありません
名前どこにできるか描きかた
落ち影物が光をさえぎって、別の物の上に落ちる影(前髪→顔、あご→首、手→服)さえぎる物の形を写して入れる。キワは硬く。
自己影物が自分自身につくる影(顔の側面、髪の内側、服のしわ)光源の反対側に、面として入れる。丸い物ほど広く。
反射光影の中の下側に入る、跳ね返りの光影よりひと段階明るい色で、細く入れる。

初心者がいちばん忘れるのが落ち影です。「髪が顔に落とす影」「あごが首に落とす影」を入れるだけで、絵が急に立体的になります。逆に反射光を入れすぎると影が消えて平面に戻ります。

実-6光源の向き別・影の入りかた早見

光源顔髪服ハイライトの位置
左から右半分に影。鼻の右側に落ち影右側に大きな影。左の山にハイライト右側と体の内側に影左側(鼻筋・左頬)
右から左半分に影。鼻の左側に落ち影左側に影。右の山にハイライト左側と内側に影右側
上から目のくぼみ・鼻の下・あごの下に影つむじの下に影。山に強いハイライト肩の下、胸の下に影肩・頭のてっぺん
逆光輪郭ぞいだけ明るく、顔の中は影輪郭に白フチ。内側は濃い影肩の線に白フチ輪郭の外側(フチどり)

どこ? 表示左右反転(最後に反転して、影が左右どちらに寄っていても不自然でないか確認)

実-7影のNG集

① 光源がページ内で2つ以上ある:キャラごとに光の向きが違う。
② 影の色を黒で塗る(カラー):絵が黒ずむ。→ 色相をずらす(7-3)。
③ 影を細かく刻みすぎ:髪や服が短冊・まだらに見える。
④ 反射光を強くしすぎ:影が消えて平面になる。
⑤ 落ち影を入れ忘れる:髪と肌、あごと首の区別がつかず、1枚の板に見える。
⑥ ハイライトを全部の束に入れる:テカテカのビニールに見える。

実-8影の完成チェックリスト

  • 光源(光の向き)が1つに決まっている/ページ全体でそろっている
  • 影のレイヤーがクリッピングされている(下地からはみ出していない)
  • 大きな影→小さな影→ハイライト→反射光の順で入れた
  • 髪:束ごとではなく「面」で影が入っている
  • 肌:影が顔の3割以下、ハイライトが4か所以下
  • 服:しわの線と影の向きがそろっている
  • 落ち影(前髪→顔・あご→首)が入っている
  • 影の中に反射光が入り、影がつぶれていない
  • 縮小して見たとき、明→中→暗→少し明 の段階が見える
  • 表示左右反転 して見ても不自然でない

影の考えかたの元の解説 → 第5章 髪の毛の描き方と影の入れ方
白黒のトーンに置きかえる → 実践② トーン(1手順=1画像)
カラーの影の色の選びかた → 第7章 カラー漫画の塗りかた

実践② CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

実践② トーン ― 1手順=1画像

線画→ベタ→すきま埋め→範囲選択→トーン→線数と濃度→モアレ直し→トーンぼかし→完成。白黒ページが入稿できる状態になるまでを9手順で追います。

1手順=1画像モアレ入稿

実-0この実践版のつかいかた

第6章 白黒マンガのトーンを、1手順=1画像で分解した実践テキストです。白黒マンガのページが、線画から印刷できる状態になるまでを9手順で追います。

手順カード1枚=作業1つです。作例=その段階の見た目、模式図=操作のしくみを描き起こした図(実際の画面写真ではありません)。模式図の手順は、ご自分のキャンバスで同じ操作をしてみてください。

作例は学習用に用意したイメージ画像です。実際のクリスタの画面写真ではないので、作業はパンくずと「やること」にしたがって行ってください。

手順1線画手順2ベタ手順3すきま埋め手順4範囲を選ぶ手順5トーンを貼る手順6線数と濃度手順7モアレ直し手順8トーンぼかしゴール入稿できるページ

実-1準備:原稿の設定とレイヤー構成

白黒マンガの基本設定(入稿先の規定が優先です)
項目設定理由
解像度600dpi網点が細かいので、350dpiだとモアレが出る
基本表現色モノクロ(またはグレースケール)白と黒+網点で作る原稿のため
用紙B5/A5(投稿ならB4)入稿先の規定どおり
裁ち落とし3〜5mmページいっぱいに絵をのせるため

どこ? ファイル新規 → 作品の用途(コミック)→ 用紙サイズ・解像度・基本表現色 → OK

どこ? 表示トンボ・基本枠の設定(あとからトンボや基本枠を変えるとき)

レイヤーの並び

↑トーン3(背景用・薄)60線・15%
↑トーン2(服の影)60線・30%
↑トーン1(肌の影)60線・20%
↑ベタ(黒)髪・リボン・スカート
↑下地(白)塗り分けのベース
—線画(ペン入れ)いちばん上
トーンは「濃さごと・パーツごと」に分けると、あとで線数や角度を調整しやすくなります。1枚にまとめるとモアレの直しが大変です。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー を必要な数だけ作る

レイヤー名は「トーン_服_影」「ベタ_髪」のように、種類+パーツ+役割でつけましょう。モアレを直すときに目的のレイヤーが一発で見つかります。

実-2トーンを貼る9手順

手順1 作例線画のみの段階 ペン入れが終わった線画だけの状態。ベタもトーンも無い。

① 線画を仕上げる

トーンを貼る前に、線を閉じておくのが鉄則です。線に切れ目があると、塗りつぶしがそこから漏れてやり直しになります。

  1. 表示拡大 して、線の切れ目・すきまを ツールパレットペン でつなぐ。
  2. 閉じたい場所の線を太くしておく(塗りつぶしの漏れが止まりやすい)。
  3. 線の太さを ツールパレット線修正線幅修正 で整える(第2章)。

どこ? ツールパレットペンGペン(線のつなぎ足し)

画面を縮小して見て、線が全部つながって見えますか? 縮小して線が見えない場所は、拡大すると切れています。

手順2 作例ベタを塗った段階 髪・リボン・スカートなど最も暗い部分を黒一色で塗りつぶした状態。

② ベタを塗る(黒)

いちばん暗い場所を黒で塗りつぶします。ベタを先に決めると、トーンの濃さが自然に決まります。

  1. 線画の下に下地レイヤーを作る。
  2. 黒くする場所を ツールパレット塗りつぶし で塗る。
  3. はみ出した部分は、ツールパレット選択範囲自動選択 で線画の外側を選んで 編集消去。
  4. ベタの周りに白いすきまが残っていないか拡大して確認(手順3で直します)。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ塗りつぶし隙間を閉じる

ベタの白いすきまは、印刷すると白い線になってとても目立ちます。ここが白黒マンガの「仕事の丁寧さ」が出る場所です。

手順3 模式図 × 白いすきまが残っている 線とベタの間に白い線が残る ① 選択範囲を広げる 選択範囲を1〜2px広げる ○ すきまが消えた 黒が線の下まで届いた 操作の順番 1. 範囲を選択 → 2. [選択範囲]→[選択範囲を拡縮]→ 1〜2px → OK → 3. そのまま塗りつぶす ※ 拡張しすぎると隣のパーツにベタが食い込みます。1〜2pxまで。
ベタの白いすきまは選択範囲を1〜2px拡張してから塗ると消えます。塗ったあとは必ず拡大して線のキワを一周チェックしましょう。

③ 白いすきまを埋める(ベタフラッシュ)

  1. 塗りたい範囲を選択する。
  2. 選択範囲選択範囲を拡縮 → 拡縮幅 1〜2px → OK。
  3. そのまま ツールパレット塗りつぶし で塗る。
  4. 線のキワを一周拡大して確認し、残っていたら ツールパレットペン で埋める。

どこ? 選択範囲選択範囲を拡縮 → 拡縮幅 1〜2px → OK

どこ? 編集塗りつぶし(または ツールパレット塗りつぶし)

線の色を一時的にグレーにすると白いすきまが見つけやすくなります(レイヤープロパティレイヤーカラー)。チェックが終わったら黒に戻します。

手順4 模式図 選択範囲(点線で囲まれる) 選択範囲の下に出る小さなパレット 新規トーン 選択範囲 拡縮 これを押すと「簡易トーン設定」が開く 簡易トーン設定 線数 60 / 濃度 30% / 種類 網(点)/ 角度 45° → OK で選択範囲の中にトーンが貼られる あとからレイヤープロパティで何度でも変更可 何も選ばずに貼ると… キャンバス全体にトーンが貼られる(×)
範囲を選んで「新規トーン」を押すと、線数・濃度・種類・角度を自分で決めて貼れます。レイヤー新規レイヤートーン からでも同じダイアログが開きます。

④ トーンを貼る範囲を選ぶ

  1. 貼りたい場所を ツールパレット選択範囲自動選択 で選ぶ。
  2. 複数選ぶときは Shift+クリックで追加、Alt+クリックで除外。
  3. 服のしわのような複雑な形は、グレーで塗った範囲をトーン化する方法(手順6)が楽です。

どこ? ツールパレット選択範囲自動選択 → ツールプロパティ選択の種類参照レイヤーへ

どこ? 選択範囲選択範囲を反転(背景を残して人物だけ除外したいとき)

影の形は先にグレーで塗ってしまうのがおすすめです。塗った形を選んでトーン化すれば、複雑な形でも一発でトーンになります。

手順5 作例トーンを貼った段階 服のしわ・肌・背景に網点トーンが貼られ、線数と角度がそろっている状態。

⑤ トーンを貼る

  1. 場所ごとにトーンレイヤーを分ける(肌用・服用・背景用)。
  2. 素材パレット単色パターン網 から選んでドラッグ&ドロップ、または選択範囲ランチャーの「新規トーン」を使う。
  3. 線数はページ全体でそろえる(60線なら全部60線)。
  4. 貼った直後に、必要なら ツールパレットレイヤー移動 で点の位置を微調整する。

どこ? 素材パレット単色パターン網 → キャンバスにドラッグ

どこ? 素材パレット素材の貼り付け(ドラッグの代わりにこれでも貼れる)

何も選択していない状態でドロップするとキャンバス全体に貼られてしまいます。必ず先に選択範囲を作ってください。

手順6 模式図 レイヤーパレット 線画 ベタ_髪 下地 トーン_服_影 トーン_肌_影 トーン_背景 調整したいトーンを選んで… レイヤープロパティ ✓ 効果:網点 トーン線数 60 濃度 30 網の設定 網(点)/万線/ノイズ/アスタリスク 角度 45° 網点の位置 X 0 / Y 0 印刷原稿は「マスクの表現」を必ず「なし」に
線数・濃度・角度はレイヤープロパティで調整します。線数はページ内でそろえるのが基本です。

⑥ 線数と濃度をそろえる

  1. トーンレイヤーを選び、レイヤープロパティ効果 が「網点」になっているのを確認する。
  2. レイヤープロパティトーン線数 をページ全体で同じ数値にする(60線がおすすめ)。
  3. 濃度は3段階までに整理する:薄(15〜20%)/中(30%)/濃(45〜50%)。
  4. レイヤープロパティ角度 は基本 45° のままにする(重なる所だけ変える)。
  5. 印刷用なら レイヤープロパティマスクの表現 をなしにする。

どこ? レイヤープロパティトーン線数 / レイヤープロパティ濃度 / レイヤープロパティ角度 / レイヤープロパティマスクの表現

濃さの段階は濃・中・薄の3つで足ります。4段階以上にすると、どれが影でどれが地か分からない絵になります。

手順7 模式図 × モアレ(同じ線数・同じ角度が重なった) 縞(しま)に見える ① 角度を変える(いちばん効く) 片方を 20°/75° に ② 網点の位置をずらす Xを +2〜3 動かす ③ 線数を変える 片方を 65線 に どこで直すか 重なっているトーンレイヤーを選ぶ →[レイヤープロパティ]の[角度]/[網点の位置] [ツール]→[レイヤー移動]→ ツールプロパティ[移動対象]を「トーンの網点」にしてドラッグ
モアレは「同じ線数×同じ角度」が重なったときに出ます。直しは角度 → 網点の位置 → 線数の順で試しましょう。

⑦ モアレを直す

  1. 画面を100%表示にして、トーンの重なりを探す(縮小表示では見えません)。
  2. 重なっているトーンレイヤーを選び、レイヤープロパティ角度 を 20°/75° に変える。
  3. 消えなければ レイヤープロパティ網点の位置 の X を +2〜3 ずらす。
  4. それでも残るなら片方を 65線 に変える。
  5. ツールパレットレイヤー移動 → ツールプロパティ移動対象トーンの網点 でドラッグして微調整する。

どこ? レイヤープロパティ角度 / レイヤープロパティ網点の位置

どこ? ツールパレットレイヤー移動 → ツールプロパティ移動対象トーンの網点

同じ線数・同じ角度のトーンを重ねないことが最大の予防策です。影と影が重なる場所は、はじめから1枚のトーンでまとめて作る方が安全です。

手順8 模式図 ① ぼかす前(影のキワが硬い) 点が急に切れている=シールを貼ったように見える ② ぼかした後(点が散って自然) 外側の点がまばらになり、グラデーションに見える どこ? ツールパレット →[デコレーション]→[カケアミ]→[トーン削り用]を選び、透明色で影のキワを削る
トーンぼかしは影のキワを削って点を散らす技法です。スクリーントーンをカッターで削ったのと同じ効果が出ます。

⑧ トーンぼかし(影のキワをなじませる)

  1. トーンレイヤーを選ぶ(トーンレイヤーはマスクの上を削ります)。
  2. ツールパレットデコレーションカケアミトーン削り用 を選ぶ。
  3. 描画色を透明色にして、影のキワを軽くなぞる。
  4. 柔らかくしたいときは ツールパレットデコレーションカケアミ雲ガーゼ を使う。
  5. レイヤープロパティマスクの表現 が「なし」になっているか確認する(印刷用)。

どこ? ツールパレットデコレーションカケアミトーン削り用(透明色で削る)

どこ? レイヤープロパティマスクの表現(印刷原稿は「なし」)

削りすぎると影が消えます。「キワを1〜2回なぞるだけ」から始めて、少しずつ足すのが安全です。

手順9 作例トーン調整後の完成 線数がそろい、モアレが無く、ベタのすきまも埋まった完成状態。

⑨ 仕上げの確認(入稿できる状態にする)

  1. 100%表示でモアレがないか、もう一度見る。
  2. 縮小表示で全体の明暗バランスを見る(白・ベタ・トーンが混ざっているか)。
  3. ベタのすきま、塗り残しを拡大して一周チェックする。
  4. ファイル書き出し(単一レイヤー) で入稿用の形式(PSD/PNG/JPEG)にする。
  5. 入稿先の規定(解像度・表現色・サイズ)と照合する(付録のチェックリスト)。

どこ? ファイル書き出し(単一レイヤー)(入稿用。作業中は ファイル保存 で .clip のまま残す)

完成したらコンビニの印刷機で試し印刷してみましょう。画面で見るトーンと、印刷したトーンは別物です。モアレや濃すぎる影は、紙に出て初めて気づくことがよくあります。

実-3トーン早見表

迷ったときの初期値(ここから調整すればOK)
使う場所線数濃度角度種類
肌の影60〜70線15〜20%45°網
服のしわ(浅い)60線25〜30%45°網
服のしわ(深い)60線45〜50%45°網
髪の影60線30〜40%45°網
背景(遠景)40〜50線10〜20%45°網
空・グラデーション50〜60線10〜40%45°グラデーション
木目・布の地紋60線20〜30%—万線(線)
ざらつき・土・コンクリ—20〜35%—ノイズ(砂目)

① 線数をバラバラに使う:ページが落ち着かない。
② 同じ線数・同じ角度を重ねる:モアレが出る。
③ 肌に濃いトーン:肌が汚れて見える。肌は薄く・細かく。
④ 影の濃さが4段階以上:どこが影か分からない。
⑤ マスクの表現が「あり」のまま入稿:印刷でトーンがきれいに出ない。
⑥ 背景のトーンが手前より濃い:遠近が逆になる。

トーンの考えかたの元の解説 → 第6章 白黒マンガのトーンのつけかた
影を入れる手順(作例つき) → 実践① 影の入れ方(1手順=1画像)
カラーの塗り → 第7章 カラー漫画の塗りかた

実践③ CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

実践③ カラーの塗り方 ― レイヤーの順番と1手順=1画像

線画→下塗り→影1→影2→ハイライト→仕上げの7手順を、レイヤーパレットの状態つきで追います。どのレイヤーを、どの合成モードで、どの順に重ねるかを全部見せます。

レイヤー順乗算1手順=1画像

このページの全手順の作例を、印の意味と設定つきで1ページにまとめた復習シートがあります → 復習シート(全15手順の一覧)

色-0この実践版のつかいかた

第7章の内容を、「どのレイヤーを、どの順番で、どんな設定で重ねるか」にしぼって、1手順=1画像で分解した実践テキストです。カラーは塗る順番をまちがえると必ず失敗します。順番そのものを覚えてしまいましょう。

作例には「どこを見るか」の赤い丸と番号(①②)が付いています。丸の位置は画像の中から自動で出しているので、拡大してもズレません。まず丸の場所を見て、次に説明を読んでください。

手順カード1枚=作業1つです。各カードには3つの絵があります。

  • 作例 … その手順が終わったときの絵の状態(イメージ画像)。
  • レイヤー状態 … そのときのレイヤーパレットの中身の模式図。青い行=この手順で作業するレイヤー。赤い ▷=「下のレイヤーでクリッピング」がON。非表示は赤い斜線。
  • 模式図 … 仕組みを説明するために描き起こした図(実際の画面写真ではありません)。

作例は学習用のイメージ画像です。クリスタの実際の画面写真ではなく、各段階で「こうなる」を見せるためのものです。操作は下のパンくずと手順にしたがって、ご自分のキャンバスで行ってください。

色-1塗る前に、レイヤーの順番を丸ごと覚える

カラー漫画の塗りは、この12枚の重なりだけでできています。むずかしそうに見えますが、規則はたった3つです。

完成時のレイヤー状態(模式図)完成したときのレイヤーパレット上にあるものほど手前に見える線画通常100%反射光スクリーン40%ハイライトスクリーン45%髪 影2乗算60%髪 影1乗算75%髪 下地通常100%服 影1乗算70%服 下地通常100%肌 影2乗算50%肌 影1乗算75%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング パレットに表示される順=そのまま「見える順」です。上が手前、下が奥。下地が3つ(肌・服・髪)、影が5つ、光が2つ、線画が1つ。これが基本の12枚です。

レイヤーの3つの原則

  1. 下地は「ベタ1色」。肌・服・髪はそれぞれ1色で塗りつぶした下地レイヤーを先に作る。ここに影をのせていく。
  2. 影と光は「上にのせる」だけ。下地を塗り直して暗くするのではなく、影用のレイヤーを新しく作って上にのせる。だから順番を間違えても、消せばやり直せます。
  3. 「その場所だけ」にのせる=クリッピング。髪の影が顔にはみ出さないよう、影レイヤーは必ず下地にクリッピングします。

クリッピングをしていないと、影を塗ったときに線画の外やとなりのかたまりにはみ出します。はみ出した影を消しゴムで消す作業が、カラー塗りでいちばん時間を食います。先にクリッピング、あとで塗る。これを合言葉にしてください。

パーツごとに「1かたまり」で作る

肌・服・髪を別々のレイヤーのかたまりにしておくと、あとで「髪の色だけ変える」が一瞬でできます。3パーツの重なり順は次のとおりです。

模式図 パーツごとに「かたまり」を作る(上が手前) 髪 下地+影2枚+光2枚 服 下地+影1枚 肌 下地+影2枚 ① 髪はいちばん手前(顔より前に出る) ② 服は首もとで肌の上、髪の後ろ ③ 肌はいちばん奥(首・耳は服の影も受ける) 線画はぜんぶの上に1枚でOK (線画をパーツごとに分けたい人は、あとで分けてもよい) 影は、必ず自分の下地にクリッピング 髪の影が肌に落ちる「落ち影」だけは例外(手順6で説明)

色-27手順を順番に追う

手順1線画を準備手順2肌の下塗り手順3全体の下塗り手順4影1手順5影2手順6ハイライト手順7反射光と仕上げゴールカラーの完成
手順1 作例(印つき)手順1の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が線画(いちばん上の1枚)、②がこれから色を入れる場所です。この段階では色は1色も塗られていません。

手順1でやるのは「線画を用意して、下描きを非表示にする」だけです。塗るレイヤーはこの線画のすぐ下に作っていきます。作例で肌や髪に色が入っていたら、それは手順の先取りです。

レイヤー状態手順1 線画を準備する上にあるものほど手前に見える線画通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

① 線画をいちばん上に用意する

塗りの出発点は「線画1枚+下描き1枚」の状態です。色を塗るレイヤーは、この2枚のあいだに入っていきます。

  1. 下描き(ラフ)レイヤーを用意し、線画をその上に描く。
  2. 線画を描き終えたら、下描きは非表示にする(目のアイコンをクリック)。
  3. 線画レイヤーの名前を「線画」に変えておく。あとで迷子にならないための名前付けです。
  4. カラーの原稿は表現色を「カラー」、解像度350dpiで作る。

どこ? ファイル新規 → 新規キャンバス表現色カラー、新規キャンバス解像度 に 350

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー(下描き用・線画用に2枚)

線画の下に色レイヤーが1枚もない状態で塗り始めると、塗った色が線画をかくしてしまいます。「線画の下に色」が大原則です。

手順2 作例(印つき)手順2の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が肌(この1色でベタ塗りする範囲)、②がまだ塗っていない髪と服です。塗った場所と、これから塗る場所の区別を見てください。

手順2は肌だけです。髪と服はまだ白いまま(②印の場所)で正しい状態です。肌にも影やハイライトは入れません(影は手順4、光は手順6)。「下地を作る」段階だと割りきりましょう。

レイヤー状態手順2 肌の下塗り上にあるものほど手前に見える線画通常100%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

② 肌を1色で下塗りする

肌のレイヤーを線画のすぐ下に作り、1色の肌色で塗りつぶします。この段階では影もハイライトも入れません。「いまは下地を作るだけ」と割りきります。

  1. 線画の下に新規ラスターレイヤーを作り、名前を「肌 下地」にする。
  2. 塗りつぶしツールで、顔・首・耳・手の中を一気に塗る。
  3. 線のキワに残る白いすきまは、拡大して塗り残さずに埋める。
  4. 下地の色はうすめにする。濃い色から始めると、影がのりません。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ塗りつぶし隙間を閉じる

肌の下地は明るいうすだいだい色(例:#F6D9C4 くらい)が扱いやすいです。いちばん明るい色=下地にして、そこから影をのせて暗くしていくのがカラー塗りの基本の向きです。

手順3 作例(印つき)手順3の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が髪(1色でベタ塗り)、②が服です。これで肌・髪・服の3つの下地がそろいます。

手順3が終わった状態=「塗り分けられた地図」です。まだ影もハイライトも1つも入れません(影は手順4〜5、光は手順6)。作例の髪に白い光の帯が入っていたら、それは手順の先取りなので、自分の絵では入れないでください。

レイヤー状態手順3 全体の下塗りをそろえる上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 下地通常100%服 下地通常100%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

③ 髪と服も下塗りして、全部の下地をそろえる

ここが山場です。髪・服のレイヤーを作り、それぞれ1色で塗ります。この手順が終わると、絵は「塗り分けられた地図」のような状態になります。影はまだ1つも入れません。

  1. 「肌 下地」の上に「服 下地」を作る(服は肌の手前)。
  2. さらに上に「髪 下地」を作る(髪がいちばん手前)。
  3. 服・髪の中をそれぞれ1色で塗る。髪は生えぎわまでていねいに。
  4. 髪と服のすきま(首もと・えり)から肌がのぞいていないか確認する。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー を繰り返し、順番をドラッグで入れかえる

  • 髪:こげ茶〜黒に近い茶(#6B4A32 など)。真っ黒にしないのがコツ。
  • 服:白いシャツなら、白ではなくうすいグレー(#EAF0F7 など)で塗る。白はハイライト用に残します。
  • 全体:肌・服・髪を同じくらいの明るさにそろえると、後がラクです。
手順4 作例肌と服に大きな影を乗算で入れた段階 肌と服の大きな影が入った状態。影はまだ1段階だけ。
レイヤー状態手順4 影1をのせる上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 下地通常100%服 影1乗算70%服 下地通常100%肌 影1乗算75%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

④ 影1をのせる(肌・服)=「乗算」で暗くする

いよいよ影です。新しいレイヤーを作り、下地にクリッピングして、合成モードを「乗算」にします。影は塗るというよりのせる感覚です。

  1. 「肌 下地」のすぐ上に新規レイヤーを作り、「肌 影1」と名づける。
  2. レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング をON(サムネイルに赤い枠が付く)。
  3. レイヤーパレット合成モード乗算 にする。不透明度は70〜80%。
  4. 光の反対側に、大きな「面」として影を塗る(髪の下・あごの下・首・服の内側)。
  5. おなじ手順で「服 影1」も作る。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング → レイヤーパレット合成モード乗算

乗算レイヤーに白(#FFFFFF)を塗ると何も起きません(下の色がそのまま出ます)。だから影は「うすいグレー〜うすい青紫」で塗ります。肌なら赤みを足した暗い色(#E0A98F くらい)が自然です。影に青を少し混ぜると、絵が一気にうまく見えます。

影1は小さく刻まない。指1本ずつ、服のしわ1本ずつに影を入れると、まだらに見えます。まず大きな面で影を入れます。

手順5 作例髪と顔まわりに濃い小さな影(影2)を足した段階 影1の中に、濃くて小さな影2が入った状態。立体感が出てきます。
レイヤー状態手順5 影2をのせる(3枚そろえる)上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 影1乗算75%髪 下地通常100%服 影1乗算70%服 下地通常100%肌 影2乗算50%肌 影1乗算75%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑤ 影2をのせる(髪の影1・肌の影2)

影1の上に、もっと濃くて、もっと小さい影をのせます。「影の中の影」を作るのが、立体感の決め手です。

  1. 「肌 影1」の上に「肌 影2」を作る。クリッピング+乗算、不透明度は45〜55%。
  2. 入れる場所はあごの下・首の落ち影・目と鼻の下など「深いところ」。
  3. 髪にも「髪 影1」を作る(クリッピング+乗算)。束の重なりを大きめに。
  4. 影2の色は、影1より少し赤紫よりにする。同じ色を濃くするだけだと黒ずみます。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット合成モード乗算(不透明度は数値入力が正確)

  • 影1:下地より少し暗い。面積は広く。不透明度 75% 前後。
  • 影2:下地よりはっきり暗い。面積は影1の3分の1。不透明度 50% 前後。
  • 3段目を足したくなったら、それは影ではなく「線」で描く合図です。
手順6 作例髪と肌と目にハイライトが入った段階 髪に光の帯、肌に小さな光、目に光の点が入った状態。
レイヤー状態手順6 ハイライトをのせる上にあるものほど手前に見える線画通常100%ハイライトスクリーン45%髪 影2乗算60%髪 影1乗算75%髪 下地通常100%服 影1乗算70%服 下地通常100%肌 影2乗算50%肌 影1乗算75%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑥ ハイライトをのせる(スクリーンで明るくする)

影と反対向きの光を入れます。使うのは「スクリーン」(または発光)の合成モード。影の場所を決めたら、ハイライトは自動的に決まります(影の反対側です)。

  1. 「髪 下地」の上に「ハイライト」を作り、クリッピング+スクリーン。不透明度は40〜50%。
  2. 髪:頭の丸みにそった帯を描く(天使の輪)。ギザギザの形にすると髪らしくなります。
  3. 肌:鼻・頬・あご先に小さな光。面積は小さく。
  4. 目:瞳の中に光の点(詳しくは実践⑤ 目の描き方)。

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン(強く光らせたいときは レイヤーパレット合成モード発光)

この手順で白を使うのは、髪の光の帯と瞳の光だけです。すでに塗った白いシャツや白目があると、どれが光か分からなくなります。シャツはうすいグレー、白目はうすいグレーで塗っておき、白そのものはハイライトのために残すのがコツです。

スクリーンは明るい色ほど効きます。ハイライトは白、またはごくうすい黄色で。肌のハイライトにうすい黄を使うと、血の気が感じられて自然です。

ハイライトをあちこちに入れすぎない。「光は1つ」が原則です。光の帯が2本以上あると、光の方向が分からなくなります。

手順7 作例反射光と線の色を入れて仕上げた完成状態 反射光が入り、線画の色もなじんで、全体がまとまった完成状態。
レイヤー状態手順7 反射光と仕上げ上にあるものほど手前に見える線画(線の色を茶色に)通常100%反射光スクリーン40%ハイライトスクリーン45%髪 影2乗算60%髪 影1乗算75%髪 下地通常100%服 影1乗算70%服 下地通常100%肌 影2乗算50%肌 影1乗算75%肌 下地通常100%下描き(ラフ)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑦ 反射光と仕上げで「まとめる」

最後の仕上げです。影の中に反射光を入れて重さを減らし、線の色を黒から茶色になじませます。

  1. 「反射光」レイヤーを作り、クリッピング+スクリーン。あごの下・髪の下側・服の内側など、影の底のほうに細く入れる。
  2. 線画の色を黒(#000000)から茶色(#5A4030 など)に変える。絵が一気に柔らかくなります。
  3. 全体を見て、影の向きがそろっているかを確認する。
  4. 仕上げに 編集色調補正色相・彩度・明度 で「彩度を少し上げる」と、印刷で色が飛びにくくなります。

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン(反射光レイヤー)

どこ? レイヤーパレットレイヤー色を変更、または 編集線の色を変更(線画の色をまとめて変える)

反射光=床や空気に反射した光が、影の中のいちばん暗いところをうっすら照らす現象です。これがあると「立体的だけど重くない」絵になります。入れすぎると影が消えるので、細さが命です。

色-3設定の早見表

「結局どのレイヤーを何にすればいいの?」というときのための表です。この表だけ印刷して手元に置いておくのがいちばん早いです。

レイヤー名どこに置くか合成モード不透明度クリッピング役わり
線画いちばん上通常100%なし絵の輪郭
反射光線画の下スクリーン40%あり影の中をうっすら照らす
ハイライト反射光の下スクリーン45%ありいちばん明るいところ
〇〇 影2そのパーツの下地の上乗算50%あり濃くて小さい影
〇〇 影1そのパーツの下地の上乗算75%あり大きく広い影
〇〇 下地パーツごと(髪が最上)通常100%なしベタ1色
下描きいちばん下通常100%なし線画を描く下地。非表示に

〇〇には「肌」「服」「髪」などパーツ名が入ります。下地は「通常・100%」、影は「乗算・75%/50%」、光は「スクリーン・40〜45%」——この3種類だけ覚えれば、カラー塗りの設定は終わりです。

色-4よくある失敗と直しかた

症状原因直しかた
影を塗ったら線からはみ出したクリッピングがOFF影レイヤーを選び、レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング をONにする(塗り直し不要)
影を塗ったのに色が変わらない白で塗っている/合成モードが通常色をうすい青紫に変え、合成モードを乗算にする
絵が黒ずんで見える影の色を「黒を薄めた色」で作った影の色に青紫・赤紫を混ぜる。髪は赤紫寄りに
のっぺりして見える影が1段階しかない影2を足す。または反射光を入れる
どこか浮いて見える線が真っ黒のまま線の色を茶色にする(編集線の色を変更)
塗り残しの白いすきま線の切れ目から塗りが漏れた塗りつぶしの「隙間を閉じる」を大きくして塗り直す

カラーの全体の流れが分かったら、次はパーツ別に細かく見ていきます。
・髪をもっと詳しく → 実践④ 髪の塗り方(カラー)
・目をもっと詳しく → 実践⑤ 目の描き方(カラー)
・色の選び方そのものは → 第7章 カラー漫画の塗りかた

実践④ CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

実践④ 髪の塗り方(カラー) ― レイヤーの順番と1手順=1画像

髪は「下地→影1→影2→ハイライト→反射光→仕上げ」の6手順。クリッピングで髪の中だけに影をのせる方法と、つやの出る設定を順番に追います。

髪クリッピング天使の輪

このページの全手順の作例を1ページにまとめた復習シートがあります → 復習シート(全15手順の一覧)

髪-0この実践版のつかいかた

第5章と第7章の髪の部分を、カラー専用に作り直した実践テキストです。髪は「下地→影1→影2→ハイライト→反射光→仕上げ」の6手順。この順番だけ守れば、つやのある髪になります。

作例には「どこを見るか」の赤い丸と番号(①②)が付いています。丸の位置は画像の中から自動で出しているので、拡大してもズレません。まず丸の場所を見て、次に説明を読んでください。

1手順=1枚のカードです。カードには作例(その段階の絵)、レイヤー状態(パレットの中身の模式図)、パンくず(どこを開くか)が並んでいます。

青い行=この手順で作業するレイヤー、赤い ▷=「下のレイヤーでクリッピング」がON、赤い斜線=非表示のレイヤーです。

作例は学習用のイメージ画像で、クリスタの画面写真ではありません。レイヤー状態の図も、説明のために描き起こした模式図です。

髪-1髪のレイヤー構成(8枚)

髪は「髪の下地」を土台にして、その上にだけ影と光をのせる構造です。顔や服にはみ出さないよう、髪用のレイヤーはすべて髪の下地にクリッピングします。

完成時のレイヤー状態(模式図)髪の完成時のレイヤー構成上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 仕上げ線通常100%髪 ハイライトスクリーン55%髪 反射光スクリーン35%髪 影2乗算60%髪 影1乗算80%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング 上から「線画 → 髪の仕上げ線 → ハイライト → 反射光 → 影2 → 影1 → 下地」で、この7枚がぜんぶ同じ髪の形の中に収まります。いちばん下に顔のレイヤーがあり、髪はその上です。
  1. レイヤーパレット新規ラスターレイヤー で「髪 下地」のすぐ上にレイヤーを作る。
  2. 作ったレイヤーを選んだまま レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング をクリック(サムネイルの左に出る赤いかぎが目印)。
  3. レイヤーパレット合成モード乗算(影)または レイヤーパレット合成モードスクリーン(光)を選ぶ。
  4. 不透明度を数値を打ちこんで決める(スライダーより正確です)。

この4ステップを「影1・影2・ハイライト・反射光」の4回くりかえすだけです。指がおぼえるまで、同じ操作をしてください。

髪-26手順を順番に追う

手順1下地手順2影1手順3影2手順4ハイライト手順5反射光手順6仕上げゴールつやのある髪
手順1 作例(印つき)手順1の髪の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が髪の中(この1色で塗る)、②が髪と額の境目です。境目まできちんと塗れているかを見ます。

手順1は「髪の中を1色で埋める」だけです。影もハイライトも入れません(影は手順2、光は手順4)。作例の髪に明るい帯や白い点があれば、それは手順の先取りです。塗り残しの白いすきまだけは、この段階で全部つぶしてください。

レイヤー状態手順1 髪の下地を塗る上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

① 髪を1色でベタ塗りする(髪の下地)

髪のかたまりの中を、地の色1色で塗りつぶします。このとき、塗り残しの白いすきまを絶対に残さないこと。すきまがあると、あとでクリッピングした影がそこだけ穴になって見えます。

  1. 線画の下、顔レイヤーの上に「髪 下地」を作る。
  2. 塗りつぶしで髪の中を一気に塗る。
  3. 白いすきまは ツールパレットペン か塗りつぶしで埋める。拡大して確認する。
  4. 下地の色は中間の明るさの茶(#6B4A32 など)。真っ黒にしない。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ塗りつぶし隙間を閉じる(線がつながっていない所でも漏れにくくなる)

髪の色は3色だけ決めれば足ります。
・下地=中間色(これを塗る)
・影の色=下地より暗く、赤紫寄り
・光の色=白に近い、うすい黄
黒髪のキャラなら、下地は青みがかった濃いグレー(真っ黒にしない)にすると、影と光がのります。

手順2 作例(印つき)手順2の髪の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が光の反対側に入れた大きな影、②がその影のキワ(束の流れにならす場所)です。

手順2で入れるのは影1だけです。ハイライト(天使の輪)は手順4なので、この段階では白い帯も白い点も入れません。作例の髪に白い光が無いことを確かめてください。

レイヤー状態手順2 髪の影1をのせる上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 影1乗算80%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

② 髪の影1をのせる(大きな影)

髪の立体感は7割がこの影1で決まります。小さく刻まず、「面」として大きく入れましょう。

  1. 「髪 下地」の上に「髪 影1」を作り、クリッピング+乗算・不透明度80%。
  2. 光の反対側を、頭の丸みにそった大きな形で塗る。
  3. 前髪が額に落とす影も、この段階でいっしょに入れる。
  4. 塗った影のキワの形を、束の流れにそってギザギザにならす。

どこ? レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング → レイヤーパレット合成モード乗算 → レイヤーパレット不透明度 に 80

影のキワをまっすぐな線で塗ると、髪が「板」に見えます。影を塗ったあと、ツールパレットペン(髪 影1レイヤーを選んだまま、影の色で)で、キワにギザギザを描きたすと髪らしくなります。手順6で入れる束の線と同じ向きにすると、うまく見えます。

手順3 作例(印つき)手順3の髪の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が影2(濃くて狭い影)、②が耳の後ろ・顔まわりの内側の濃い影です。

影は影1と影2の2段階までです。3段目を入れたくなったら、それは影ではなく線で描くところです。この段階でもまだ白いハイライトは入れません(手順4)。

レイヤー状態手順3 髪の影2をのせる上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 影2乗算60%髪 影1乗算80%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

③ 髪の影2をのせる(小さな影)

影1の中に、もう一段濃い影を入れます。これが「束の重なり」を作ります。

  1. 「髪 影1」の上に「髪 影2」を作る(クリッピング+乗算・60%)。
  2. 上の束が下の束に落とす影を、細い形で入れる。
  3. えりあし(首の後ろ)と耳の後ろは、いちばん暗くなる場所。
  4. 面積は影1の3分の1まで。「濃く・狭く」がルール。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → レイヤーパレット合成モード乗算

影2の色を黒に近くしすぎないこと。髪が黒い固まりに見えます。影2にも赤紫を混ぜます。影の段階は2つまで。3つ目を入れたくなったら、それは影ではなく線で描くところです。

手順4 作例(印つき)髪の頭頂部に入った白い光の帯に①太い帯②細い帯の印を付けた作例 作例に印を付けました。①が太い帯(主役)、②がその上に走る細い帯です。白はこの帯だけで、髪の中に白い点はありません。
天使の輪=白い帯。太い帯と細い帯の「2本」で描く ① 太い帯(主役) ② 細い帯(飾り) 帯の下のキワをギザギザにすると、髪の束に見えます 作るときの3つのコツ ① 前髪では<一>分けて描く(毛先で切れる) ② 中央を太く、両はしを細くする ③ 下のキワをギザギザにする ✕ 1本の輪で描くと「輪ゴム」に見える ✕ 別々の向きに2本以上描くと光が分からなくなる 作例の赤い①は太い帯、②は細い帯を指しています。
レイヤー状態手順4 ハイライト(天使の輪)上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 ハイライトスクリーン55%髪 影2乗算60%髪 影1乗算80%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

④ ハイライトをのせる(天使の輪)

髪のつやを作る手順です。光の帯=「天使の輪」を、スクリーンのレイヤーに描きます。

  1. 「髪 下地」の上(影2より上でも下でも、上のほうが扱いやすい)に「髪 ハイライト」を作る。
  2. クリッピング+スクリーン・不透明度55%にする。
  3. 頭の丸みにそった帯を、前髪の上・頭頂部に1本描く。
  4. 帯の下側のキワをギザギザにする(髪の束が切れる形)。
  5. 帯は「太い帯」と「細い帯」の2本に分けると、いっそうつやつやに見える。

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン(もっと強く光らせたいときは レイヤーパレット合成モード発光)

丸い「輪」をそのまま描くと、輪ゴムのように見えます。コツは3つ。
① 前髪では分けて描く(毛先で切れる)。
② 帯の太さを変える(中央が太く、端が細い)。
③ 下のキワをギザギザにして、束の切れ目を作る。
光の帯は必ず1本の方向にそろえます。2本以上を別々の向きに描くと、光の方向が分からなくなります。

手順5 作例髪の下側と顔まわりに明るい反射光が入った段階 髪の下側と、顔まわりのふちに反射光が入った状態。
レイヤー状態手順5 反射光を入れる上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 ハイライトスクリーン55%髪 反射光スクリーン35%髪 影2乗算60%髪 影1乗算80%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑤ 反射光を入れる(髪の下側を明るくする)

髪の下側に、明るい色をうすく入れると、髪が厚みのある布のように見えます。これが反射光です。

  1. 「髪 ハイライト」の下に「髪 反射光」を作る(クリッピング+スクリーン・35%)。
  2. 髪の下側(あごのラインのあたり)に、細い帯を入れる。
  3. 顔まわりの髪のふちにも、うっすら入れる(髪が透けて見える)。
  4. 色はうすい茶〜うすいだいだい。白を使うとハイライトと区別がつかなくなります。

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン → レイヤーパレット不透明度 に 35

反射光=地面や空気に反射した光が、影の底をうっすら照らしているもの。だから「影の中だけ」に入れます。光が当たっている側に入れると、のっぺりします。参考:実践① 影の入れ方の「反射光」のページに、同じ考え方の図があります。

手順6 作例毛先の透けと束の線を入れて仕上げた髪 毛先の透け、束の線、細いハイライトが入った完成状態。
レイヤー状態手順6 仕上げ(線をのせる)上にあるものほど手前に見える線画通常100%髪 仕上げ線通常100%髪 ハイライトスクリーン55%髪 反射光スクリーン35%髪 影2乗算60%髪 影1乗算80%髪 下地通常100%顔(肌・目・口)通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑥ 仕上げ:束の線と毛先の透けを入れる

最後に、色の上に線を描き足して髪の流れをはっきりさせます。塗りで足りない部分は、線で補うのがマンガのやり方です。

  1. 「髪 下地」の上(線画の下)に「髪 仕上げ線」を作る(クリッピング+通常)。
  2. 色は下地より少し暗い茶。線画の黒よりうすい色にすると、やわらかく見えます。
  3. 束の重なりに、短い線を数本。長い線を引きすぎると、うるさくなります。
  4. 毛先の透け:毛先にハイライトの色で細い線を入れると、光が透けて見えます。
  5. 最後に遠目に見て、つやが1つ(1方向)にまとまっているか確認する。

どこ? ツールパレットペン → ツールプロパティブラシサイズ(毛先は細く)

どこ? 編集線の色を変更(線画の色をまとめて茶色になじませる)

画面を25%くらいに縮小して見てください。つや(白い帯)が1か所にまとまって見えれば成功です。もし2か所以上に散っていたら、1つを消すか、うすくしましょう。

髪-3髪の設定 早見表

レイヤー名順番(上から)合成モード不透明度クリッピング何を描くか
線画1通常100%なし輪郭の主線
髪 仕上げ線2通常100%あり束の重なりの短い線・毛先の透け
髪 ハイライト3スクリーン55%あり天使の輪(太い帯+細い帯)
髪 反射光4スクリーン35%あり髪の下側・顔まわりのふち
髪 影25乗算60%あり束の重なり・えりあし(狭く濃く)
髪 影16乗算80%あり光の反対側の大きな影・額に落ちる影
髪 下地7通常100%なし髪を1色でベタ塗り
顔(肌・目・口)8通常100%なし髪より奥

上の表がそのままレイヤーパレットの並び順になります。髪の色をあとで変えたくなったら、「髪 下地」の色を変えるだけで、影と光はそのまま使えます(クリッピングしているから)。

髪-4よくある失敗と直しかた

症状原因直しかた
髪が板のように見える影1のキワがまっすぐ/ハイライトの帯が1本だけ影のキワをギザギザにならし、ハイライトを太帯+細帯の2本にする
髪が黒い固まりに見える影の色が黒すぎる/下地が暗すぎる影に赤紫を混ぜる。下地を1段明るくする
つやが輪ゴムに見える帯を1本の輪で描いた前髪で分けて切る。帯の太さを変える
影が顔にはみ出したクリッピングOFF影レイヤーのレイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング をON
影の中に白い点が残る下地の塗り残し「髪 下地」レイヤーのすきまを埋める(塗りつぶしの隙間を閉じるを大きく)
どこかベタッと見える反射光が入っていない髪の下側にスクリーン35%で反射光を入れる

・カラーの全体の順番から復習したい → 実践③ カラーの塗り方
・目を詳しく → 実践⑤ 目の描き方(カラー)
・白黒の髪の影の順番 → 実践① 影の入れ方

実践⑤ CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

実践⑤ 目の描き方(カラー) ― レイヤーの順番と1手順=1画像

白目→瞳のベース→瞳孔と虹彩の濃淡→落ち影→ハイライト→まつげの6手順。瞳の中の「光の3層構造」をレイヤーごとに分けて描きます。

目ハイライト立体感

このページの全手順の作例を1ページにまとめた復習シートがあります → 復習シート(全15手順の一覧)

目-0この実践版のつかいかた

第9章を、カラーの目にしぼって作り直した実践テキストです。目は「白目→瞳のベース→瞳孔と虹彩の濃淡→落ち影→ハイライト→まつげ」の6手順。とくに瞳の中の3層構造を、レイヤーごとに分けて描くのがポイントです。

作例には「どこを見るか」の赤い丸と番号(①②)が付いています。丸の位置は画像の中から自動で出しているので、拡大してもズレません。まず丸の場所を見て、次に説明を読んでください。

1手順=1枚のカードです。カードには作例(その段階の絵)、レイヤー状態(パレットの中身の模式図)、パンくずが並びます。青い行=この手順で作業するレイヤー、赤い ▷=クリッピングON、赤い斜線=非表示です。

作例は学習用のイメージ画像で、クリスタの画面写真ではありません。レイヤー状態の図も説明用の模式図です。手順の操作はパンくずにしたがって、ご自分のキャンバスで行ってください。

目-1瞳の中は「3つの層」でできている

カラーの目がうまく見えるのは、瞳の中に3つの層があるからです。この3層を別々のレイヤーに分けるのが、この実践のいちばん大事なところです。

模式図 瞳の中身は、この4つを「別レイヤー」で重ねる ① ベース(虹彩の色) 瞳全体を1色でベタ塗り ② 瞳孔+虹彩の濃淡 上を濃く、下を明るく ③ 落ち影(まぶたの影) 瞳の上半分が暗くなる ④ ハイライト 大1つ+小1つ。位置は対角 重ねる順番は ①→②→③→④。 ②と③は「瞳のベース」にクリッピング。 ③の落ち影を入れると、瞳が「奥にある」ように見えます。これを入れないと、目がシールのように平らになります。

白目をまっ白(#FFFFFF)で塗ると、のっぺりして「入れ歯」のように見えます。白目はうすい肌色〜うすいグレーで塗り、両はし(目じり・目頭)を少し暗くすると、眼球が丸いことが伝わります。

目-26手順を順番に追う

手順1下地手順2瞳ベース手順3瞳孔と濃淡手順4落ち影手順5ハイライト手順6まつげゴール生きている目
手順1 作例(印つき)手順1の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①の白い部分が瞳(虹彩)で、この段階ではまだ塗りません。②のうすいグレーの部分が白目です。

作例で瞳がまっ白なのは、この段階では正しい状態です。瞳の色は次の手順2で入れます。手順1で確認するのは「白目が、まっ白ではなく、うすいグレーになっているか」の1点だけです。

レイヤー状態手順1 下地(白目とまぶた)上にあるものほど手前に見える目の線画通常100%白目+まぶたの下地通常100%目の下描き通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

① 白目とまぶたを下地で塗る

まず眼球のベースを作ります。瞳(虹彩)はまだ塗りません。白目を白で塗らないのがコツです。

  1. 線画の下に「白目+まぶたの下地」を作る。
  2. 白目をうすい肌色〜うすいグレーで塗る。
  3. まぶた(二重の上の面)も肌の下地と同じ色で塗る。
  4. 目の両はし(目頭・目じり)を、うすく1段暗くしておく。

どこ? ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ

どこ? ツールパレットぼかし(両はしの影をなじませる)

まっ白にすると、あとで入れるハイライト(白)と区別がつかなくなり、目が「光っていない」ように見えます。白目をうすい色にしておくと、白いハイライトがくっきり光って見えます。白は最後のハイライトのために残すのがカラーのコツです。

手順2 作例(印つき)手順2の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が瞳(虹彩)全体で、ここを1色で塗ります。②が虹彩の上のフチで、まぶたの線にぴったり合わせます。

この段階では濃淡も黒い瞳孔も入れません。1色のベタ塗りだけです。作例で瞳がのっぺりして見えるのは正しい状態で、濃淡と瞳孔は次の手順3で入れます。

レイヤー状態手順2 瞳のベース上にあるものほど手前に見える目の線画通常100%瞳 ベース(虹彩)通常100%白目+まぶたの下地通常100%目の下描き通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

② 瞳のベース(虹彩)を塗る

瞳(虹彩=黒目の中の色のついた部分)を、1色でベタ塗りします。ここはいちばん明るい色を使います。あとから暗くしていくので、明るい色から始めるのがコツです。

  1. 「白目」の上に「瞳 ベース」を作る。
  2. 瞳の中を1色で塗る(茶・青・緑など、キャラの設定色)。
  3. 瞳の上のキワは、まぶたの線に沿ってていねいに。
  4. 塗り残し(瞳の中の白い点)がないか拡大して確認。

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー → ツールパレット塗りつぶし

  • 茶色の目:下地 #8B5E3C(明るい茶)
  • 青い目:下地 #6E9CC4(うすい青)
  • 緑の目:下地 #6FA07A(うすい緑)
  • 赤い目:下地 #B4555E(うすい赤)
  • 黒い目:下地 #4A4A52(うすいグレー。真っ黒にしない)

どの色でも、下地は「明るめ」。影をのせる余地を残します。

手順3 作例(印つき)手順3の作例(赤い丸と①②のラベルつき) 作例に印を付けました。①が黒い瞳孔(中心の黒い点)。②が濃くする虹彩の上部です。「上を濃く、下を明るく」になったかを見ます。

手順3でも白いハイライトはまだ入れません(入れるのは手順5)。作例の瞳の中に白い点は1つもありません。ここで確認するのは「黒い瞳孔があるか」「虹彩の上が濃いか」の2つです。

レイヤー状態手順3 瞳孔と虹彩の濃淡上にあるものほど手前に見える目の線画通常100%瞳孔・虹彩の濃淡通常100%瞳 ベース(虹彩)通常100%白目+まぶたの下地通常100%目の下描き通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

③ 瞳孔と虹彩の濃淡を入れる

瞳の中に2つ入れます。①瞳孔(中心の黒い点)、②虹彩の濃淡(上を濃く、下を明るく)。ここで瞳が「奥行きのある球」になります。

  1. 「瞳 ベース」の上に新規レイヤーを作り、クリッピングする(合成モードは通常でよい)。
  2. 中心に黒い瞳孔を描く(真円より、少し大きめの円)。
  3. 虹彩の上のほうに、濃い色を半月状に塗る。
  4. ツールパレットぼかし で下のキワをなじませ、上から下へ明るくなるグラデーションにする。
  5. 瞳孔のフチを、うすくぼかす(くっきりさせすぎない)。

どこ? レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング → ツールパレットぼかし

まぶたが光をさえぎるので、瞳の上のほうが暗く、下のほうが明るくなります(目はくぼみの中にあるからです)。これを「上濃く・下明るく」と覚えましょう。逆(上を明るく)にすると、目が飛び出して見えます。

手順4 作例(印つき)落ち影を入れた作例。①は瞳の上半分の落ち影、②は明るいままにしておく下半分 この段階では、瞳の中に白い光(ハイライト)はまだ1つもありません。作例で見るのは「瞳の上のほうが暗くなっているか」だけです。どこが影か分からないときは、下のくらべ図を見てください。

作例に印を付けました。①が瞳の上半分に落ちた影、②が明るいままにしておく下半分です。下まで暗くすると瞳が「穴」に見えますので、②のほうは明るいまま残してください。白目にも同じ影がうっすら落ちるので、瞳の上のキワに合わせて入れます。この段階では白いハイライトはまだ入れません(入れるのは手順5)。

手順4で見るところ=瞳の「上のほうが暗くなったか」 ✕ 落ち影なし(手順3のまま) 瞳がのっぺり=シールのよう ○ 落ち影あり(この手順で作る) ここまで 瞳がくぼみの中にあるように見える 赤い点線より上が暗い=正解。暗くするのは「上から半分まで」で、下まで暗くすると瞳が穴に見えます。
レイヤー状態手順4 落ち影(まぶたの影)上にあるものほど手前に見える目の線画通常100%瞳 落ち影乗算65%瞳孔・虹彩の濃淡通常100%瞳 ベース(虹彩)通常100%白目+まぶたの下地通常100%目の下描き通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

④ 落ち影を入れる(瞳の上半分を暗くする)

まぶたがつくる影を、瞳の上半分と白目に落とします。このひと手間で、目が「くぼみの中にある」ように見えます。

  1. 「瞳孔・虹彩の濃淡」の上に「瞳 落ち影」を作る。
  2. クリッピング+乗算・不透明度65%にする。
  3. 瞳の上半分に、まぶたの線にそった形で影を塗る。
  4. 白目の上側にも、うっすら同じ影を入れる(まぶたの影が落ちる)。
  5. キワを ツールパレットぼかし でなじませる(した側だけぼかすと自然)。

どこ? レイヤーパレット合成モード乗算 → レイヤーパレット不透明度 に 65

上側のキワは、まぶたの線にぴったり合わせて残す(くっきり)。下側のキワだけをぼかす。こうすると「まぶたが作った影」らしくなります。上下ともぼかすと、影がぼんやりして目がうつろに見えます。

落ち影を瞳の下半分まで広げないこと。下まで暗くすると、瞳が「穴」に見えます。暗くするのは上から3分の1〜半分までです。

手順5 作例(印つき)瞳の左上の大きな白い光に①、右下の小さな白い点に②の印を付けた作例 作例に印を付けました。①が大きい光、②が小さい点です。この2つだけが白で、それ以外の白はありません。下の図で位置のルールを確認してください。
白く光るのは、この2つだけ(作例の赤い印と同じ) ① 大 ② 小 対角に置く 白目はうすいグレー まっ白にしないから光が目立つ 白が2つだけ、というルール ・①大きい光=瞳の<一>左上。手順5で最初に入れる。 ・②小さい点=瞳の<一>右下。①の反対側(対角)。 ・この2つ<以外に白い点を描かない。 作例で「白がいっぱい」に見えるときは、 たいてい次のどれかです。 ✕ 白目をまっ白で塗った → 光と区別できない ✕ ハイライトを3つ以上入れた ✕ 肌や髪にも白い光を入れてしまった (肌の光は手順6で入れるので、この段階では入れない)
レイヤー状態手順5 ハイライト上にあるものほど手前に見える目の線画通常100%ハイライト(大)スクリーン85%ハイライト(小)スクリーン90%瞳 落ち影乗算65%瞳孔・虹彩の濃淡通常100%瞳 ベース(虹彩)通常100%白目+まぶたの下地通常100%目の下描き通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑤ ハイライトを入れる(大1つ+小1つ)

目を「生きている」と感じさせるのは、このハイライトです。大きい光と小さい点の2つを、対角の位置に置きます。

  1. いちばん上に新規レイヤーを作り、「ハイライト(大)」と名づける(クリッピング+スクリーン・85%)。
  2. 瞳の中の光が当たる側(右上か左上)に、大きめの形を描く。円でも、角のある形でもよい。
  3. もう1枚「ハイライト(小)」を作り、反対側の下に小さな点を描く。
  4. 色はまっ白(#FFFFFF)。ここだけは白を使う。
  5. 左右の目で同じ位置にそろえる(ずれると、よそ見して見えます)。

どこ? ツールパレットペン → ツールプロパティ硬さ を最大に(キワをくっきりさせたいので)

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン(クリッピングはしなくてもOK。瞳からはみ出さなければそのままでよい)

手順5で白を使うのは2か所だけです。①大きい光=瞳の左上、②小さい点=瞳の右下(①の反対側)。3つ目は入れません。「作例に白がたくさんあって分からない」と感じたら、たいてい白目をまっ白で塗ったか、光を入れすぎたかのどちらかです。白目はうすいグレー、光は2つにもどしましょう。

「大きい光」と「小さい点」は、瞳の中心をはさんで対角に置くと、玉のように見えます。両方を同じ側に寄せると、瞳が片側に「へこんだ」形に見えます。なお、小さい点のほうを大きくしすぎないこと。主役は大きい光のほうです。

手順6 作例まつげと二重のラインを入れて仕上げた目(①大ハイライト②小ハイライトの印つき) まつげ・二重のライン・目のフチの色が入り、透明感のある完成状態。
レイヤー状態手順6 まつげと仕上げ上にあるものほど手前に見えるまつげ・二重ライン通常100%ハイライト(大)スクリーン85%ハイライト(小)スクリーン90%瞳 落ち影乗算65%瞳孔・虹彩の濃淡通常100%瞳 ベース(虹彩)通常100%白目+まぶたの下地通常100%目の下描き通常100%■ 青い行=この手順で作業するレイヤー ▷ 赤いかぎ=下のレイヤーでクリッピング

⑥ まつげと二重のラインを入れて仕上げる

最後に線を入れて、目を締めます。まつげはいちばん太い線。ここが弱いと、せっかく塗った瞳がぼやけます。

  1. いちばん上に「まつげ・二重ライン」を作る(通常・100%)。
  2. 上まつげを太く描く。目じりに向かって太く・はねるのが基本の形。
  3. 上まぶたに二重のラインを細く入れる(まつげから少し離す)。
  4. 瞳の上側のフチに、濃い色(こげ茶など)を細く入れる(瞳が引きしまる)。
  5. 左右の目を並べて、まつげの太さ・目の大きさ・ハイライトの位置がそろっているか確認する。

どこ? ツールパレットペン(まつげ用の太いペン先を選ぶ)→ ツールプロパティブラシサイズ

どこ? レイヤーパレット新規ラスターレイヤー(線画を分けずに、上から描き足してもOK)

画面を50%くらいに縮小して、目をチェックします。「まつげの黒」と「瞳の光」の2つが見えれば成功です。縮小してもつぶれない強さが、マンガの目の強さです。

目-3目の設定 早見表

レイヤー名順番(上から)合成モード不透明度クリッピング何を描くか
まつげ・二重ライン1通常100%なし太い上まつげ・二重の線・瞳のフチ
ハイライト(小)2スクリーン90%なし大きい光の反対側の小さな点
ハイライト(大)3スクリーン85%なし瞳のいちばん明るい光
瞳 落ち影4乗算65%あり瞳の上半分・白目の上側
瞳孔・虹彩の濃淡5通常100%あり黒い瞳孔・上を濃く下を明るく
瞳 ベース(虹彩)6通常100%なし瞳を1色でベタ塗り
白目+まぶたの下地7通常100%なし白目(うすい色)とまぶた
目の下描き8通常100%なし下描き。非表示に

塗りで使うレイヤーはたったの6枚(下地・ベース・瞳孔と濃淡・落ち影・ハイライト2枚)です。あとは上にまつげを描けば完成します。

目-4よくある失敗と直しかた

症状原因直しかた
目が平ら/シールのように見える落ち影が入っていない「瞳 落ち影」レイヤーを作り、乗算65%で瞳の上半分を暗くする
目がうつろに見える落ち影のキワを上下ともぼかした上側のキワはまぶたの線に合わせてくっきり、下側だけぼかす
ハイライトが光って見えない白目をまっ白で塗った白目をうすい肌色に変える。白はハイライトだけに使う
瞳が穴に見える影を下まで広げた影の範囲を上から半分までにもどす
左右でよそ見して見えるハイライトの位置が左右でちがう左右の同じ位置に置き直す(片方を消して複製するのが早い)
目がぼやける/遠目で見えないまつげが細い上まつげを太くし、目じりを太くはねる。二重のラインも入れる

・カラーの全体の順番から復習したい → 実践③ カラーの塗り方
・髪を詳しく → 実践④ 髪の塗り方(カラー)
・白黒の目 → 第9章 目と瞳の描き方

復習 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

復習シート ― 印つき作例を1ページにまとめて確認

実践③④⑤の全15手順の作例を、赤い印(①②)の意味と設定つきで1ページに並べました。塗る順番・合成モード・不透明度・クリッピングを、作業しながら見返すためのページです。

全手順一覧早見表印刷向き

復-0このページのつかいかた

実践③・実践④・実践⑤の全15手順の作例を、1ページにまとめました。各カードには作例の赤い印(①②)が何を指しているかと、そのレイヤーの設定(合成モード・不透明度・クリッピング)を書いています。

塗っている手元にこのページを開いておいて、「いまの手順のカードと見くらべる」のがいちばん効きます。うまくいかないときは、カードの①の場所と自分の絵を見くらべてください。印刷するときは、このページだけを出すとA4に2段で入ります。

復-1設定の3つのきまり(これだけ覚える)

役わり合成モード不透明度クリッピング色のえらび方
下地(肌・服・髪)通常100%なし明るめの1色。影をのせる余地を残す
影1乗算75%(髪は80%)あり下地より暗く、青紫〜赤紫寄り。黒を薄めた色にしない
影2乗算50%(髪は60%)あり影1より濃く・狭く。面積は影1の3分の1
光(ハイライト・反射光)スクリーン35〜55%あり白またはうすい黄。白はここだけに使う
線画・仕上げ線通常100%仕上げ線はあり黒より茶色になじませる

「下地は通常100%/影は乗算/光はスクリーン」の3種類だけです。レイヤーを増やすときは、必ず①新規レイヤー → ②クリッピング → ③合成モード → ④不透明度の順で設定してから塗ります。

復-2全15手順の一覧

実践③ カラーの塗り方(全体の順番)

手順1 線画を準備する(印つき)
手順1線画を準備する
  • ① 線画=いちばん上の1枚
  • ② 色レイヤーはこの下(まだ白のまま)
線画=通常/100%/クリッピングなし。下描きは非表示に。
手順2 肌の下塗り(印つき)
手順2肌の下塗り
  • ① 肌=この1色でベタ塗り
  • ② 髪と服はまだ白(先取りしない)
肌 下地=通常/100%。影も光もまだ入れない。
手順3 全体の下塗り(印つき)
手順3全体の下塗り
  • ① 髪=1色でベタ塗り(いちばん手前)
  • ② 服=白のままにしない
髪 下地/服 下地=通常/100%。3つの下地がそろう。

実践④ 髪の塗り方(カラー)

髪 手順1 下地(印つき)
手順1髪の下地
  • ① 髪の中をこの1色で塗る
  • ② 髪と額の境目まで塗り残さない
髪 下地=通常/100%。影も光も入れない。
髪 手順2 影1(印つき)
手順2影1(大きな影)
  • ① 光の反対側に大きく
  • ② 影のキワは束の流れでギザギザに
髪 影1=乗算/80%/クリッピング。
髪 手順3 影2(印つき)
手順3影2(小さな影)
  • ① 影2=濃くて狭い影(束の重なり)
  • ② 耳の後ろ・顔まわりの内側も濃く
髪 影2=乗算/60%/クリッピング。影は2段階まで。
髪 手順4 ハイライト(印つき)
手順4ハイライト(天使の輪)
  • ① 太い帯=主役
  • ② 細い帯=飾り(同じ向き)
髪 ハイライト=スクリーン/55%/クリッピング。白はこの帯だけ。
髪 手順5 反射光(印つき)
手順5反射光
  • ① 天使の輪(そのまま)
  • ② 反射光=髪の下側・顔まわりのふち
髪 反射光=スクリーン/35%/クリッピング。細く入れる。
髪 手順6 仕上げ(印つき)
手順6仕上げ(束の線)
  • ① 天使の輪=位置が変わっていないか
  • ② 束の線=短い線で流れを強調
髪 仕上げ線=通常/100%/クリッピング。線画は茶色になじませる。

実践⑤ 目の描き方(カラー)

目 手順1 下地(印つき)
手順1白目とまぶたの下地
  • ① 瞳はまだ白いまま(正しい状態)
  • ② 白目はうすいグレー(まっ白にしない)
白目+まぶたの下地=通常/100%。
目 手順2 瞳ベース(印つき)
手順2瞳のベース(虹彩)
  • ① 瞳(虹彩)を1色でベタ塗り
  • ② 上のフチはまぶたの線に合わせる
瞳 ベース=通常/100%。濃淡も瞳孔もまだ入れない。
目 手順3 瞳孔と濃淡(印つき)
手順3瞳孔と虹彩の濃淡
  • ① 黒い瞳孔=中心の黒い点
  • ② 虹彩の上は濃く(下は明るく)
瞳孔・虹彩の濃淡=通常/100%/クリッピング。白はまだ入れない。
目 手順4 落ち影(印つき)
手順4落ち影
  • ① 瞳の上半分=落ち影(まぶたの影)
  • ② 下は明るいまま(上から半分まで)
瞳 落ち影=乗算/65%/クリッピング。下まで暗くすると穴に見える。
目 手順5 ハイライト(印つき)
手順5ハイライト
  • ① 大ハイライト=瞳の左上
  • ② 小ハイライト=瞳の右下(対角)
ハイライト2枚=スクリーン/85%・90%。白はこの2つだけ。
目 手順6 まつげ(印つき)
手順6まつげと二重ライン
  • ① 大ハイライト=手順5から動いていないか
  • ② 小ハイライト=左右で位置がそろっているか
まつげ・二重ライン=通常/100%。上まつげは太く、目じりをはねる。

復-3うまくいかないときの点検リスト

症状見る場所直しかた
影が線からはみ出す影レイヤーの設定レイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング をON
塗ったのに色が変わらない合成モード乗算にする。色は白ではなくうすい青紫で
絵が黒ずむ影の色黒を薄めた色をやめ、青紫・赤紫を混ぜる
のっぺりする影の段数・反射光影2を足す。反射光(スクリーン35%)を入れる
白が多すぎて光が分からない白目・服の色白目と白い服をうすいグレーに。白はハイライトだけに残す
目がシールのように平ら瞳 落ち影乗算65%で瞳の上半分を暗くする(上から半分まで)
髪が輪ゴムに見える天使の輪の描きかた前髪で分けて切る。太い帯と細い帯の2本にする
塗り残しの白い点が残る下地レイヤー塗りつぶしの「隙間を閉じる」を大きくして埋め直す

第9章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

第9章 目と瞳の描き方

目の10のパーツ、4段階の描き順、モノクロの目とカラーの目、形で性格を描き分ける方法、感情はまぶたと瞳孔で出します。

目瞳表情

この章のカラーの目を、レイヤーの順番つきで1手順=1画像に分解したページがあります → 実践⑤ 目の描き方(カラー)

9-1目は「10のパーツ」でできている

目は顔のなかでいちばん情報量が多く、ちょっとした形の違いでキャラクターの印象が変わります。まずは部品の名前を覚えます。

① 上まつ毛(太く) ② 二重まぶたの線 ③ 目尻(上まぶたの端) ④ 目頭 ⑤ 瞳孔(黒) ⑥ 虹彩(ここに色) ⑦ ハイライト ⑧ 下まつ毛(細く) ⑨ 上まぶたの落ち影 ⑩ 涙袋(下まぶたのふくらみ)
この10個のどれを強調するかで、キャラクターの印象が決まります。上まつ毛を太く・虹彩に色・ハイライト2点が漫画の目の基本セットです。

9-2目の描き順(4段階)

  1. アタリ:横長の楕円を描き、中央に十字線を引く。この楕円が「目の大きさ」を決めます。
  2. 輪郭:上の線を太く、下の線を細く描く。上まつ毛を外側へはねさせる。
  3. 瞳:十字の中心に虹彩(円)→ 中に瞳孔(黒い円)。虹彩の上側を少し欠けさせる(上まぶたに隠れる)。
  4. 仕上げ:上まぶたの落ち影を虹彩の上に入れる → ハイライトを大小2点 → 下まつ毛を数本。
① アタリ 楕円+十字線で大きさを決める ② 輪郭とまつ毛 上は太く、はねさせる ③ 虹彩と瞳孔 上まぶたの影を入れる ④ ハイライトと仕上げ 白2点+下まつ毛+涙袋
①アタリ → ②輪郭とまつ毛 → ③虹彩と瞳孔+上まぶたの影 → ④ハイライト。アタリを省略すると、左右の目で大きさがそろいません。

どこ? ツールパレットペン丸ペン(目の線は細いペンで)

どこ? ツールプロパティ手ブレ補正(瞳の円がゆがむときは数値を上げる)

どこ? ツールパレット定規対称定規 → ツールプロパティ対称の種類垂直(左右の目をそろえたいとき)

9-3モノクロ漫画の目(白黒の作りかた)

作例モノクロ漫画の目のアップ完成例
白黒の目の完成例:上まつ毛を太く、虹彩の中は網点トーンでグラデーション、瞳孔は黒ベタ、ハイライトは大小2点。上まぶたの落ち影で立体感を出している。
  1. 上まつ毛をいちばん太く描く(目の「額縁」)。
  2. 虹彩の中に薄いトーン → 下側に濃いトーンを重ねる(点をずらしてモアレ回避)。
  3. 瞳孔は黒ベタ。虹彩の中心より少し上に置くと、目が生きて見えます。
  4. 上まぶたの落ち影を虹彩の上側へ。これで目がくぼんで見えます。
  5. ハイライト:大きい方(上寄り)+小さい方(反対側)の2点。白ペンで描く。

どこ? ツールパレットペンホワイト(ハイライトは白ペンで描く)

どこ? レイヤープロパティ効果網点(虹彩の中をトーン化する)

どこ? レイヤープロパティトーン線数(瞳は 70〜80線の細かい網点がきれい)

虹彩の上側を欠けさせると、まぶたに瞳が隠れて「目の中に奥行き」が出ます。まんまるの瞳は、ぬいぐるみのような目になります。

9-4カラーの目(色の作りかた)

作例カラーの目のアップ完成例
カラーの目の完成例:虹彩は上から下へのグラデーション、瞳孔は濃色、上まぶたの影は紫寄り、ハイライト2点と瞳の中の反射光。
目の色の作りかた(カラーの場合)
パーツ色の作りかたポイント
虹彩(上側)基本色を少し暗くまぶたの影が落ちる場所
虹彩(下側)基本色を明るく・鮮やかに光が入る場所。彩度を上げる
瞳孔基本色を濃くした色(真っ黒にしない)黒にすると目が死ぬ。赤紫や紺にする
上まぶたの影紫〜青紫をのせる(乗算)肌の影と同じ色相
ハイライト白(大)+白(小・不透明度下げ)2点。位置は光の向きとそろえる
瞳の中の反射光虹彩より明るい同系色下側に小さく。キラッと見える

どこ? レイヤーパレット合成モード乗算(上まぶたの影)

どこ? レイヤーパレット合成モードスクリーン / レイヤーパレット合成モード覆い焼き(発光)(ハイライト)

どこ? ツールパレットぼかし(虹彩のグラデーションをなじませる)

瞳孔を真っ黒にしないのがカラーのコツです。真っ黒にすると目が暗く沈みます。基本色を濃くした色(例:青い目なら濃紺、茶色い目なら濃いあずき色)にしましょう。

9-5目の形で性格を描き分ける

作例標準・たれ目・つり目の3種類
同じキャラで目の形だけを変えた作例:①標準 ②やさしいたれ目 ③きついつり目。形の違いだけで、性格の印象が変わります。
目の形と印象(顔の骨格は変えずに、目だけで差を出せる)
タイプ描きかたこんなキャラに
たれ目目尻を下げる。上まつ毛のカーブをゆるく。下まつ毛を多めにやさしい・おっとり・温厚・年下
つり目目尻を上げる。上まつ毛を直線的に。瞳孔を小さく強気・クール・負けず嫌い・年上
丸目・大きな目縦に長い楕円。虹彩を大きく、ハイライトも大きく元気・子ども・純粋・動物っぽい
細い目・糸目上下の線を近づけて、虹彩を細く切る大人・したたか・笑っている・謎
半目・たれ目+細目上まぶたを水平に。下まぶたを上げる眠そう・マイペース・無気力

目の形を変えても、両目の間隔=目1つぶんというルールは守ります(4-2)。間隔を変えると、別のキャラに見えます。間隔はキャラごとの「個性」として決めて、その後は固定しましょう。

9-6男女で目のどこを変えるか

部分男性キャラ女性キャラ
目の形横長(幅>高さ)縦長(高さ>幅)
上まつ毛太いが本数が少ない。はねは短い太く、はねが長い。まつ毛を1本ずつ描く
下まつ毛ほとんど描かない(1〜2本)細い線を数本。下まぶたの線も入れる
二重まぶた線を入れない、または浅くはっきり入れる(平行型か末広型)
眉太く・直線的・目のすぐ上細く・カーブ・目から離す
ハイライト小さく1〜2点大きく2点+反射光でキラキラ

どこ? ツールパレットペン丸ペン(まつ毛の1本描き)

どこ? 表示左右反転(左右の目のバランス確認)

9-7感情は「まぶた」と「瞳孔」で出す

同じ目の形のまま、まぶたの開き具合と瞳孔の大きさだけで感情を表せます。ここを覚えると、表情のバリエーションが一気に増えます。

感情別・目の描きかた(眉毛とセットで使う)
感情まぶた瞳孔プラスする要素
驚き上まぶたを上げる(白目が広く見える)小さく眉を上げる。上まつ毛の影を消す
怒り上まぶたが下がる(目が細くなる)小さく眉を下げて「ハ」の字に。眉間にしわ
悲しみ上まぶたが下がり、目尻も下がるやや大きく・潤ませる眉の内側を上げる。下まぶたに涙の玉
照れ上まぶたを下げつつ、目をそらす普通頬に斜線。虹彩を片側に寄せる
喜び下まぶたが上がる(三日月型)普通目尻に「く」の字のしわ
恐怖上まぶたを上げ、下げる動きも混ざる小さく震える白目の面積を広く。影を濃く

どこ? ツールパレットペン(まぶたの線を引き直す。ベクターなら ツールパレット操作オブジェクト で制御点を動かせる)

9-8目のNG集とチェックリスト

① 左右の目で大きさが違う:アタリ(楕円)を左右に描いてから輪郭を描く。
② 目が高すぎる/低すぎる:横の線=頭の半分=目の高さ(4-2)。
③ 瞳孔の位置がずれている:左右の瞳孔が同じ方向を向いているか必ず確認。
④ ハイライトが多すぎる:2点まで。3点以上は「宝石」に見えます。
⑤ 白目の面積が0:虹彩を大きくしすぎ。まぶたのキワに白目を残す。
⑥ まつ毛がベタっとしている:1本ずつ、長さを変えて、カーブさせる。
⑦ カラーで瞳孔が真っ黒:基本色を濃くした色にする。
⑧ 眉と目の距離が男女で同じ:男性は近く、女性は離す(4-3)。

  • 目のアタリを描いてから輪郭を描いた
  • 上まつ毛が下まつ毛より太い
  • 虹彩の上側がまぶたで少し欠けている
  • 上まぶたの落ち影が虹彩の上に入っている
  • 瞳孔の位置と向きが左右でそろっている
  • ハイライトが2点、光の向きと合っている
  • 両目の間隔が「目1つぶん」になっている
  • モノクロ:虹彩にトーンが入っている(線数は他とそろえてある)
  • カラー:瞳孔が真っ黒ではない
  • 男女でまつ毛・二重まぶた・眉の距離を変えた
  • 表示左右反転 で見て違和感がない

第10章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

第10章 服のしわの描き方

しわは「引っぱり・たまり・支え」の3つでしかできません。部位別・服種別のしわと、線・ベタ・トーンの役割分担を学びます。

しわベタトーン

10-1しわは「3つの原因」でしかできない

服のしわは、思いつきで描くと「シミ」に見えます。なぜそこでしわになるのかを覚えると、どんな服でも描けるようになります。

① 引っぱられる(テンション)

関節を曲げたり、腕を上げたりして布が引っぱられる所に、放射状(ほうしゃじょう)のしわができます。

肩・わき・ひじ・股・ひざ。しわの線は「つっぱる方向に伸びる」。

② たまる(たわみ)

布が余ってたるむ所に、横じまのしわができます。

ウエスト・そで口・ひざ下・スカートのすそ。しわは「たるんだ方向に垂れる」。

③ 支える(支点)

体の一部が布を押す所に、その形に沿ったしわができます。

胸・肩先・バッグのひも・ベルト。押し出された布が外へ逃げる向きにしわが出る。

① 引っぱり(放射状) わき・肩・ひじ・股。外へ向かう線 ② たまり(横じま) ウエスト・すそ・そで口。垂れる山形 ③ 支え(押し出し) 胸・肩先・ベルト。押された布が逃げる
しわは「引っぱり」「たまり」「支え」の3つ。描く前に「ここはどれかな?」と考えるだけで、しわの向きが正しくなります。

10-2体のどこにしわが出るか(地図)

わき ウエスト(たまり) 胸・肩先(支え) ひざ(引っぱり) すそ(たまり) しわを入れる優先順位 1. わきの下・肩(引っぱり)… 必ず入れる 2. ウエスト(たまり)… 体の向きが分かる 3. ひじ・ひざ(引っぱり)… 関節の目印 4. そで口・すそ(たまり)… 布の重さ 5. 胸・肩先(支え)… 体型が出る ※ 全部入れると「シワだらけ」になる。1〜3だけで十分 しわの本数の目安 ・小さく短いしわ … 1〜2本(浅い影) ・大きく長いしわ … 1本(濃い影) 線を増やすより、影の段階を分ける
「引っぱり」は赤、「たまり」は青、「支え」は緑。全部入れるとしわだらけになるので、1〜3番目だけで十分です。

10-3服の種類でしわは変わる

作例Tシャツ・ワイシャツ・スカート・ズボンのしわの違い
服の種類ごとのしわの入り方:Tシャツは胸元とわきに放射状、ワイシャツはボタンの間とひじに引っぱり、スカートはプリーツと腰まわりにたまり、ズボンはひざと股に引っぱり。
服の種類別・しわの出る場所
服しわが出る場所しわの形描くコツ
Tシャツ胸元・わき・そで口柔らかい放射状・たまり布が薄いので、しわは細く浅く。影も薄く
ワイシャツボタンの間・ひじ・えりまっすぐな引っぱり硬い布なのでしわは直線的。ボタンの横に必ず1本
制服の上着肩・わき・前の合わせ硬い引っぱり厚手の布。しわの数は少なく、影を濃く
プリーツスカート腰まわり・すそプリーツの縦線山と谷を交互に。回転するほど谷の幅が変わる
ズボン股・ひざ・足首放射状+横じまひざは曲げる側に引っぱり、ふくらはぎにたまり
セーターひじ・わき・ウエスト大きな柔らかいしわ厚いのでしわは大きく少なく。あみ目で質感を出す

10-4白黒での描き方(線+ベタ+トーン)

作例白黒のシャツのしわの完成例
白黒の服の完成例:しわの線は細く、影は網点トーン。しわの山に白いハイライトが入り、布の硬さと柔らかさが描き分けられている。
  1. しわの線を細いペンで入れる(輪郭より細く)。しわの線は根元から先へ向かって、先細りに。
  2. 影の形をグレーで塗る(濃さを2〜3段階で塗り分ける)。
  3. レイヤープロパティ効果網点 でトーン化し、濃さごとにトーンレイヤーを分ける。
  4. いちばん深いしわはベタ(黒)で塗る。ベタが1か所あると、服に「重さ」が出る。
  5. ハイライト:しわの山に白を細く入れる(またはトーンを消して白を抜く)。

どこ? レイヤープロパティ効果網点 → レイヤープロパティトーン線数 / レイヤープロパティ濃度

どこ? ツールパレットペン丸ペン(しわの線)/ツールパレットペンホワイト(ハイライト)

白黒の服は「線=しわの形」「トーン=浅い影」「ベタ=いちばん深い影」と役割を決めます。すべてを線で描こうとすると、服が線だらけの網目になります。影は線ではなく面で作りましょう。

10-5カラーでの描き方(影の色)

作例カラーの服のしわの完成例
カラーの服の完成例:白いシャツの影は青系、リボンは赤、スカートは紺。しわに沿って影の色が入り、山には明るい色が乗っている。
服の色べつ・影の色の作りかた(7-3と同じ考え方)
服の色影の色(乗算レイヤー)ハイライト
白青〜青紫(白ほど青い影が効く)純白+水色
黒紺・濃い青紫(黒に黒を重ねない)青白い反射光。輪郭に白フチ
赤赤紫〜あずき色オレンジ〜白
青濃紺〜紫水色
黄オレンジ〜茶(暗くしすぎない)白〜薄い黄
緑深緑〜青緑黄緑〜白

どこ? レイヤーパレット合成モード乗算(影)/レイヤーパレット合成モードスクリーン(ハイライト)

黒い服は影が入りません(黒に黒をのせても見えない)。黒い服は反射光とハイライトで形を見せるのがプロのやり方です。輪郭に沿って青白い光を入れましょう。

10-6男女で服の描きかたを変える

場所男性キャラ女性キャラ
しわの数少なく、大きく(布が張っている)やや多く、柔らかく
しわの線直線的・硬い曲線的・柔らかい
影のエッジ硬くはっきり柔らかく、ぼかし気味
重点を置く場所肩幅・胸・腕の太さウエストのくびれ・胸の丸み・スカートの広がり
布の厚み厚手に見せる(影を濃く)薄手に見せる(影を薄く)

10-7服のしわのNG集とチェックリスト

① しわを均等に並べる:しま模様のシャツに見える。しわは大小・長短をバラバラに。
② しわの線だけ描いて影を入れない:線画の下書きのように見える。必ず影を入れる。
③ 服の形に関係なくしわを描く:体の凹凸を無視したしわは、布に見えない。
④ カラーで影を黒くする:服が汚れて見える。色相をずらす。
⑤ 黒い服に影を入れて満足する:黒は反射光とハイライトで形を見せる。
⑥ しわを増やして描き込みの多さで勝負する:線を減らして、影の段階で立体を作る方が上手に見える。

  • しわの原因(引っぱり/たまり/支え)が説明できる
  • わき・ウエスト・関節のしわが入っている
  • しわの線は輪郭線より細い
  • しわの線と影の向きがそろっている
  • しわの大小・長短がバラバラで、均等に並んでいない
  • 影の段階が2〜3ある(浅い・中・深い)
  • 白黒:いちばん深いしわがベタ、浅いしわがトーンになっている
  • 白黒:服のトーンの線数がページ内でそろっている
  • カラー:影の色相がずれている(黒を混ぜていない)
  • 黒い服:反射光か白フチで形が見える
  • 男女でしわの数・線の硬さを描き分けた

体の立体(箱と円柱)→ 第4章 人物の描き分け(4-4)
影の入れ方の手順(作例つき)→ 実践① 影の入れ方(1手順=1画像)
影の色の選びかた → 第7章 カラー漫画の塗りかた(7-3)

第11章 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

第11章 コマ割りとセリフ

読む順番の決めかた、視線誘導、コマ枠フォルダーの作り方、コマの高さと間隔、吹き出しとテキスト、ページ構成までをまとめます。

コマ枠吹き出しテキスト

11-1コマ割りは「読む順番」を決める仕事

コマ割りとは、絵を並べる作業ではなく「読者に、どの順番で、どれだけ時間をかけて読ませるか」を決める作業です。日本で販売されているマンガは、原則右上から左下へ読み進めます。

① 読む順番を決める

日本のマンガは 右 → 左、上 → 下。まずこの順番で分かるようにコマを置きます。

② 時間の速さを決める

コマが大きい=時間がゆっくり/小さい=時間が速い。同じ段の中でも、大きいコマほど長く見られます。

③ 見せ場を決める

いちばん言いたい1点を「見せゴマ」(大きく・細かく描く)にします。1ページに1つで十分。

A. 大きな1コマ+下2コマ(見せ場向き) 123 迫力・驚き・引きの場面。上を大きく B. 均等3段(会話・日常向き) 12 34 56 会話が続く場面。時間の流れが一定になる C. 斜め・変形(動き・スピード) 123 走る・戦う・叫ぶ。線の向きで勢いを出す
まずはこの3パターンを覚えれば十分です。A=見せ場、B=会話、C=動き。1ページの中で混ぜると、リズムが出ます。

11-2視線誘導(読者の目を動かす)

読者の目は、ほおっておくと画面の外へ逃げます。次の5つの道具で、次のコマへ誘導します。

視線を動かす5つの道具
道具しくみ使いどころ
キャラの視線人は描かれた人物が目を向けている方向を見てしまう人物の目線を次のコマへ向ける。最強の誘導
指・手・体の向き体の向き・指さす方向へ目が動く「あっちを見て」の場面
吹き出しのしっぽしっぽが話している人を指す(読む順番の目印)会話のコマで必須
斜線・集中線線の向きに沿って目が流れる動き・スピード・視線の強調
大きさの差大きいコマに目が止まり、長く見られる見せ場のコマを大きくする
作例コマ割りの完成ページ(セリフ入り)
実際の1ページの作例。上の大きなコマで「教室と人物」を見せ、下の段で会話を進めます。吹き出しは右上 → 左 → 下の順に置かれ、読む順番が自然に決まっています。ページ番号も入っています。

コマを並べたら、自分で声を出して読んでみましょう。「セリフ→セリフ→セリフ」と自然につながれば成功です。読みにくいと感じたら、吹き出しの位置か、コマの高さを変えるのが原因の9割です。

11-3クリスタでコマ枠を作る(手順)

  1. 原稿を開く(実践②の設定と同じ:白黒なら 600dpi、ファイル新規 → 作品の用途 コミック)。
  2. コマ枠フォルダーを作る:レイヤー新規レイヤーコマ枠フォルダー → ダイアログで「枠線を描画」をオン、「線の太さ」を指定して OK。
    ダイアログの項目:名前/枠線を描画/線の太さ/アンチエイリアス。モノクロ2値の原稿はアンチエイリアス「なし」にします。
  3. コマを切る:ツールパレットコミックコマ枠長方形コマ を選び、ツールプロパティ で線の太さを決めて、基本枠の内側でドラッグ。基本枠にスナップして枠線が引かれます。
  4. コマを分割する:ツールパレットコミックコマ枠枠線分割 を選び、ツールプロパティ左右の間隔 / ツールプロパティ上下の間隔 を決めて、コマの上でドラッグ。
  5. 等間隔に割る:ツールパレット操作オブジェクト でコマ枠を選び、レイヤー定規・コマ枠コマ枠を等間隔に分割 → 縦の分割数・横の分割数を入れて OK。
  6. 枠線の太さを変える:ツールパレット操作オブジェクト でコマ枠を選び、ツールプロパティブラシサイズ の数値を変える。コマごとに太さを変えられます。
  7. コマの外へ広げる(ぶち抜き):ツールパレット操作オブジェクト でコマ枠を選び、三角のアイコンを押すと、その方向へコマがキャンバスの端まで広がります(裁ち切り)。
  8. コマ枠フォルダーの中に下描きレイヤーを作って描くと、コマからはみ出しません(フォルダーにレイヤーマスクが付いているため)。

どこ? レイヤー新規レイヤーコマ枠フォルダー

どこ? ツールパレットコミックコマ枠長方形コマ / ツールパレットコミックコマ枠枠線分割

どこ? レイヤー定規・コマ枠コマ枠を等間隔に分割

どこ? 表示スナップキャンバス・基本枠にスナップ(枠線が基本枠に吸い付かないとき)

素材パレット漫画素材コマ割りテンプレート からコマ割り済みのテンプレートをドラッグするだけで、基本枠に合ったコマ枠ができます。4コママンガ用のテンプレートもあります。ファイル新規 ダイアログの「テンプレート」から選ぶ方法もあります。

コマ枠フォルダーのアンチエイリアスは、モノクロ2値で入稿する原稿では「なし」にしてください。「あり」だと、印刷で枠線のキワがグレーににじみます。

11-4コマの高さと間隔の目安

1ページ(B5)を3段で割るときの目安
コマの種類高さ(B5・3段の場合)使う場面
大きいコマ(見せ場)全体の半分〜3分の2扉、衝撃、引きの構図
ふつうのコマ55〜65mm会話、説明
小さいコマ35〜45mm反応、間(ま)、心の声
細いコマ(1行)20〜30mmツッコミ、決めゼリフ、間
コマの間隔(天地左右の余白)
種類間隔の目安意味
同じ段の左右の間3〜6mm同じ時間の流れ・会話の続き
段と段の間(上下)5〜8mm少し時間が進む。
大きくあける10mm以上時間が飛ぶ(別の場所・別の日)
ぶち抜き(広げる)0mmコマの外へ広げて「特別な時間」を表す

「間(ま)」は何も描かないコマで作ります。無地のコマ、背景だけのコマ、手だけのコマ。間を入れると、その前後のセリフが強くなります。1ページに1か所入れてみましょう。

11-5吹き出しの種類と使い分け

ふつうの会話 丸。日常のセリフ全部 息つぎで改行する 叫び・怒鳴り ギザギザ。大声・強い感情 心の声・小声 点線+小さい丸のしっぽ (しっぽを閉じない) … もやもや・回想 雲形。不安・回想・しんみり ピピピ 機械・電話・効果音
吹き出しは形で「声の大きさ・種類」を伝えます。しっぽは話している人の口元へ向けます(誰のセリフか分からないのが最悪のミス)。
  1. 吹き出しを描く:ツールパレット図形吹き出し を選び、キャンバスにドラッグ。ツールプロパティ で形(丸・角丸・カクカク・雲形)としっぽの長さを変えます。
  2. 他のコマと重ねない:吹き出しは必ずコマの中に置きます(コマをまたぐ吹き出しは読みにくくなります)。
  3. 読む順に置く:上の段は右→左、下の段も右→左。同じ段に2つ入れるときは右が先です。
  4. サイズをそろえる:同じキャラのセリフは同じ大きさの吹き出しにします。声が大きい=吹き出しが大きいので、むやみに大きくしません。
  5. しっぽの向き:話している人の口元へ。2人の会話では交差しないように置きます。

どこ? ツールパレット図形吹き出し → ツールプロパティ吹き出し(形・しっぽの設定)

どこ? 素材パレット の検索で「吹き出し」(吹き出し素材も収録されています)

セリフを入れる前にネーム(コマ割りの下描き)でセリフの長さを決めておくのが本当は大切です。あとから文字を入れると、吹き出しが入りきらず、コマをはみ出します。

11-6セリフの入れかた(テキスト)

  1. ツールパレットテキスト ツールを選び、吹き出しの中をクリックして文字を入力する。
  2. ツールプロパティフォント を選ぶ。本文は読みやすいゴシック体(アンチック体を使うとマンガらしくなります)。
  3. ツールプロパティ文字サイズ を決める。B5原稿なら 9〜11pt相当が読みやすい目安。
  4. ツールプロパティ行間 と中央揃えで、吹き出しの真ん中に置く。
  5. 縦書きにするときは ツールプロパティ縦書き(または縦書き用の設定)に切り替える。
  6. むずかしい漢字にはルビを付ける(ツールプロパティルビ の設定。バージョンにより位置が異なります)。
  7. テキストは後から直せるように、1つのレイヤーにまとめるか、セリフごとに分けておく。

どこ? ツールパレットテキスト → ツールプロパティフォント / ツールプロパティ文字サイズ

どこ? ツールパレットテキスト → ツールプロパティルビ(ルビの設定)

読みやすいセリフのルール

  • 1行は短く(吹き出しの中で2〜3行まで)
  • 息つぎで改行する(「〜だけど、/〜なんだ」)
  • 句読点を入れすぎない(「、」が多いと読みにくい)
  • 同じセリフを2つの吹き出しに分けない
  • セリフは話し言葉で。説明くさくしない

やってはいけないこと

  • 文字がコマからはみ出す
  • 吹き出しから文字がはみ出す
  • 同じページで文字サイズがバラバラ
  • 地の文と効果音を区別しない
  • セリフを絵の上に直接置く(読めない)

セリフを入れたら、ページ全体を縮小して見ましょう。文字が小さすぎて読めない、逆に大きすぎて絵が隠れている、という失敗が一目で分かります。

11-71ページの構成(起承転結)

1ページの組み立てかた(4段落の例)
段役割コマの大きさ何を描くか
1段目起(状況を見せる)中〜大場所・人物・時間を伝える。引きの構図
2段目承(会話・展開)中セリフで話を進める。反応のコマを混ぜる
3段目転(変化)大(見せ場)ここで1ページの「山」を作る
4段目結(結果・引き)小〜中結果と、次のページへ続く「引き」を作る

ページの終わり(下の段の最後のコマ)が重要です。ここで「えっ」と思わせると、ページをめくってもらえます。逆にここで話を終わらせると、読者はそこで本を閉じてしまいます。

11-8アクションのコマ割り(応用)

作例アクションシーンのコマ割りの作例
アクションのコマ割りの作例:斜めのコマ枠と大きさの違うコマで、動きと速さを表現。集中線とベタで勢いを強調している。吹き出しは空にしてある(この場面はセリフより動きが優先)。

動きを出す4つのテクニック

  • コマ枠を斜めにする:同じ絵でもスピードが出る
  • コマの大きさを急に変える:小→大で「ドン」と当たる
  • 集中線・流線:動く向きに線を流す
  • ベタを増やす:暗くして緊張感を上げる

手順

  1. ネーム(下描き)でコマの形を決める
  2. ツールパレットコミックコマ枠折れ線コマ で斜めのコマを作る
  3. 人物 → 効果線 → ベタ → 集中線の順に描く
  4. 最後にセリフを入れて、目線の流れを確認する

どこ? ツールパレットコミックコマ枠折れ線コマ(斜めのコマを作る)

どこ? ツールパレット定規 の特殊定規(集中線)/フィルター効果(集中線を後から追加)

11-9コマ割りとセリフのチェックリスト

  • 右上 → 左下の順で読める(読む順番が迷わない)
  • 1ページに「見せゴマ」が1つある
  • コマの大きさを変えて、時間の速さに差をつけた
  • コマの間隔に意味を持たせた(広い=時間が飛ぶ)
  • ぶち抜きは1ページに1回まで
  • 吹き出しがコマの中に収まっている
  • 吹き出しのしっぽが話し手の口元を向いている
  • 同じキャラのセリフは同じ大きさの吹き出し
  • セリフがコマ・吹き出しからはみ出していない
  • 文字サイズがページ内でそろっている
  • 1つの吹き出しに長いセリフを詰め込んでいない(2〜3行まで)
  • 人物の目線が次のコマへ向いている(視線誘導)
  • 会話シーンに「間」のコマが1つ入っている
  • 下の段の最後のコマで、次のページが読みたくなる
  • コマ枠のアンチエイリアスがモノクロ2値なら「なし」になっている

コマの中の人物 → 第4章 人物の描き分け
背景の描きかた → 第8章 背景の描きかた
白黒の仕上げ(トーン) → 実践② トーン(1手順=1画像)
入稿前の最終チェック → 付録 早見表・用語集・練習ドリル

付録 CLIP STUDIO PAINT 学習テキスト

早見表・用語集・練習ドリル

操作パンくずの一覧、用語集、印刷所に入稿するときのチェックリスト、練習ドリル。作業中に開くページです。

早見表用語集チェック

実践③④⑤の全15手順の作例を、赤い印(①②)の意味と設定つきで1ページに並べた復習シートがあります → 復習シート(全15手順の一覧)

A-1操作パンくず早見表

「どこを開けばいいか」だけをまとめた表です。作業中にここを見てください。

よく使う操作と、開く場所(パソコン版の日本語表示)
やりたいことパンくず(左から順に開く)
新しい原稿を作るファイル新規
新しいレイヤーを作るレイヤーパレット新規ラスターレイヤー
あとで直せる線のレイヤーを作るレイヤー新規レイヤーベクターラスター
下のレイヤーの中だけに描くレイヤーパレット下のレイヤーでクリッピング
影を暗く重ねる(カラー)レイヤーパレット合成モード乗算
光を足す(カラー)レイヤーパレット合成モードスクリーン
下描きを青くするレイヤープロパティレイヤーカラー
下描きを薄くするレイヤーパレット不透明度
線の太さをあとで直す(ラスター)フィルター線画修正線幅修正
線の太さを部分的に直す(ベクター)ツールパレット線修正線幅修正
線の形を直すツールパレット操作オブジェクト
きれいにまっすぐ引くツールパレット定規直線定規
左右対称に描くツールパレット定規対称定規 → ツールプロパティ対称の種類垂直
パース定規を作るツールパレット定規パース定規 → ツールプロパティサブツール詳細透視図法
パース定規を直すツールパレット操作オブジェクト
トーンを貼る(素材から)素材パレット単色パターン網 → キャンバスにドラッグ
トーンを自分で設定して貼る選択範囲新規トーン(選択範囲ランチャー)
トーンを沢山つくるレイヤー新規レイヤートーン
描いたグレーをトーンにするレイヤープロパティ効果網点
トーンの線数・濃度を変えるレイヤープロパティトーン線数 / レイヤープロパティ濃度
モアレを直すレイヤープロパティ角度 / レイヤープロパティ網点の位置
網点だけをずらすツールパレットレイヤー移動 → ツールプロパティ移動対象トーンの網点
トーンを削ってぼかすツールパレットデコレーションカケアミトーン削り用
トーンの模様だけ変える素材パレットトーンの貼り替え
網点トーンに色をつけるレイヤープロパティレイヤーカラー
範囲を自動で選ぶツールパレット選択範囲自動選択
塗りつぶす(線画をガイドに)ツールパレット塗りつぶし → ツールプロパティ参照レイヤー参照レイヤーへ
選択範囲を広げて白いすきまを防ぐ選択範囲選択範囲を拡縮
3D人形・3D背景を置く素材パレット3D
3Dを線画+トーンにするレイヤーレイヤーのLT変換 EXのみ
作業中に保存するファイル保存
入稿用に書き出すファイル書き出し(単一レイヤー)

A-1bあとから追加された章

章内容
実践① 影の入れ方(1手順=1画像)髪・肌・服の影を、画像つきで1手順ずつ練習する
実践② トーン(1手順=1画像)線画から入稿できる状態になるまでの9手順
第9章 目と瞳の描き方目の10のパーツ、描き順、モノクロとカラー、感情の出しかた
第10章 服のしわの描き方引っぱり・たまり・支えの3つの原因、部位別のしわ
第11章 コマ割りとセリフコマ枠フォルダーの作り方、視線誘導、吹き出しとテキスト

A-2用語集(わからない言葉が出たら)

言葉意味
レイヤーとうめいな紙。重ねて絵を作る。上が手前。
クリッピング下のレイヤーの形の中だけに描けるようにする機能。影を入れるときの必需品。
合成モードレイヤーの重ねかた。乗算=影、スクリーン=光、通常=ふつう。
トーン/網点点の集まりでグレーに見せるもの。点=網点。
線数(せんすう)網点の細かさ。数字が小さい=点が大きい。
ベタ真っ黒に塗ること。フラッシュ=線のキワまできっちり塗ること。
モアレトーンが重なって出る、しま模様のムラ。
階調(かいちょう)明るさの段階。白・グレー・黒の何段階で表すか。
アイレベル見ている人の目の高さ。地平線と同じ。
消失点奥行きの線が1点に集まる場所。
透視図法(パース)奥行きを正しく描く方法。1点/2点/3点がある。
頭身(とうしん)顔の長さが体に何個ぶん入るか。
入り抜き線の始まりと終わりを細くし、中を太くすること。
ベクターレイヤー線を線として保存するレイヤー。あとで太さ・形を直せる。
LT変換3D素材や画像を、線画とトーンに自動で分ける機能(EXのみ)。
dpi1インチに何個の点があるか。白黒600/カラー350が目安。
裁ち落とし印刷で切られる外側の余白。絵をのばしてよい限界。
内枠切られない安全な範囲。大事なものはこの中に入れる。
空気遠近遠くの物を薄く青く描いて距離を出す技法。
反射光(照り返し)影の中に入る、地面や服から跳ね返った光。

A-3入稿前チェックリスト(印刷するとき)

  • 解像度:白黒 600dpi / カラー 350dpi
  • 表現色:入稿先の指定どおり(モノクロ/グレースケール/カラー)
  • サイズ・裁ち落とし:入稿先の規定どおり(B5なら裁ち落とし3mmなど)
  • 内枠の外に大事な絵・セリフがない
  • 線の太さが細すぎない(縮小印刷で消えないか)
  • 網点の線数がページ内でそろっている/モアレがない(100%表示で確認)
  • レイヤーのマスクの表現が「なし」(階調が残っていない)
  • 白いすきま・塗り残しがない(拡大して一周チェック)
  • レイヤーを統合して、ファイル書き出し(単一レイヤー) で書き出した
  • 書き出し形式:PSD/PNG/JPEG(入稿先の指定どおり)
  • ファイル名・ページ数が入稿先のルールどおり
  • 印刷の見本(コンビニプリントなど)で一度試し印刷した

入稿規定は印刷所ごとに違います。必ずその印刷所の「原稿規定」ページを読むのが最優先です。この表はあくまで一般的な目安です。

A-4練習ドリル(1日1つでOK)

  1. 線の練習:まっすぐな線/カーブ/円を、Gペン・丸ペン・ミリペンで描き分ける。1つのマスに10本ずつ。手ブレ補正の数値を変えて違いを見る。
  2. 入り抜き:1本の線を引いて、始まり細く・中太く・終わり細く。できたらフィルター線画修正線幅修正 で太さを直してみる。
  3. レイヤー練習:丸を1つ描いて、その上にクリッピングした影レイヤーで「左から光」の影を入れる。
  4. パース練習:1点透視の部屋を描く。箱を3つ置き、すべての奥行き線を消失点へ向ける。
  5. 頭身練習:7頭身の棒人間を描く。横線7本を先に引き、その中に体を入れる。
  6. 男女の描き分け:同じポーズの男女を、肩幅・首・腰だけ変えて描く。黒く塗ってシルエットで見分けられるか確認。
  7. 髪の影の順序:髪のかたまりを1つ描いて、①下地→②影1→③影2→④ハイライトの4枚を並べて作る。
  8. トーン練習:同じ丸に、40線/60線/80線のトーンを貼り比べる。線数による見え方の違いを記録する。
  9. モアレ体験:60線のトーンを2枚重ね、角度を変えず→変えて、モアレが出る/消えるを確認する。
  10. カラーの影:同じ肌色の上に、黒を混ぜた影と色相をずらした影を並べて塗り比べる。どちらが自然か見る。
  11. 背景の省略:教室のイラストを描き、人物の顔まわりだけ背景を消して効果を確かめる。
  12. 仕上げの通し:1ページ漫画を、ラフ→下描き→ペン入れ→ベタ→トーン→(またはカラー塗り)の順で最後まで完成させる。

A-5困ったときのQ&A

症状原因と直しかた
描いても線が出ない選んでいるレイヤーがロックか非表示かαチャンネル保護になっていないか確認。レイヤーの名前の右に鍵や目のアイコンがないか見る。
クリッピングしてるのに描けない下のレイヤーに色が塗られていない(クリッピングは下の形の中だけに描ける)。
塗りつぶしがはみ出るツールプロパティ塗りつぶし の「隙間を閉じる」を上げる。線の切れ目をツールパレットペン でつなぐ。
線に吸い付いて描けないどこかのレイヤーに定規がある。表示定規の表示 で確認し、不要なら レイヤー定規を非表示 か削除する。
トーンが黒い点のまま見える原稿の表現色がモノクロのときは正常(印刷で灰に見える)。画面で確認したいなら 表示色の表示 を「モノクロ表示」にする。
拡大するとモアレだらけレイヤープロパティ角度 を変える/レイヤープロパティ網点の位置 をずらす(第6章)。
動作が重い解像度を下げすぎず、不要なレイヤーを統合。表示キャンバスの表示 を軽い設定に。確認用は400dpi、入稿直前に600dpi、という作り方もある。
パレットが消えたウィンドウ素材 / ウィンドウレイヤー などで開き直す。それでもだめなら ウィンドウワークスペース初期設定 に戻す。

うまく描けない日は、1つ前の章に戻るのがいちばんの近道です。形が崩れるなら 第4章、影が汚いなら 第5章、トーンが汚ければ 第6章 を読み返してください。